新型エアロード プロダクトマネージャーに聞く キャニオンが向かうべき未来|CANYON
防御は最大の攻撃
安井:では空力設計について。近年、トレックのマドンやサーヴェロ・S5、ビアンキ・オルトレのような斬新な空力設計の自転車が出てきましたが、エアロードは前作とほとんど変わらず、オーソドックスな空力設計ですね。その理由は? スヴェン:他社がトライしているような新しいアプローチも検討はしました。しかし前作のエアロードで、空力性能はほとんど完成されていたんです。そこで今回のモデルチェンジでは、空力面は前作を踏襲しつつ、ハンドルの汎用性、ベアリングの耐久性、ボルト周りなど、細かい部分にこだわりました。それによって、整備や調整をできるだけ容易にし、ショップやユーザーが困らないように意識しました。斬新な機構を採用することでメンテナンス性を下げるより、運用面を重視したのが今回のモデルチェンジというわけです。 安井:BMCやトレック、キャノンデールはフレームに合わせた専用ボトルを作って空力を煮詰めてきましたが、キャニオンはなぜやらないんでしょう? スヴェン:キャニオンはフィドロックを採用したエアロボトルを発売していますが、あくまでアフターマーケット用で、エアロード専用ではありません。エアロードは一般的な円形のボトルを前提としています。理由は、レース現場からの要望。チームカーからボトルを受け取る場合の扱いやすさや汎用性を考慮した結果なんです。社内でも議論はしており、これまでボトルに関しての研究はしてきましたが、今回は専用品を採用することはありませんでした。 安井:では、ホイールについて。キャニオンほどの規模のメーカーがオリジナルホイールをやらないことが不思議なんですが。 スヴェン:確かに、多くのバイクメーカーが自社のホイールブランドを展開しています。ただキャニオンはどんなホイールを使っても高い空力性能を発揮できるように設計しています。なぜかというと、チームによって使うホイールが異なるからです。例えばアルペシンはシマノホイールユーザーです。トータルバランスを考え、専用ホイールに特化させることはしませんでした。