川勝平太・静岡県知事に聞く(全文3完)ジャパニーズドリーム実現できる県に
東京が日本の中心という錯覚
── ユートピアですね。 ユートピアなんですよ。富士山のおかげで、この4年間、3年8カ月余りの間に、突然ですよ。京都と東京というのが日本の顔だったけれども、京都というのは、東洋の文明を入れ込んで自分たちのものにしたところだから、東洋文明の生きた博物館でしょう。 東京というのは、国会議事堂を見ても、何となく石づくりですから、アメリカのコングレスが映ると、コングレスは、何かこう石づくりだけれども派手ですよね。お墓みたいでしょう。だから、東京ディズニーランドにしても、あるいは東京タワーにしても、エッフェル塔とかがあって。 さすがにスカイツリーとなると、反りだとか、真ん中の心柱だとか、考え方が入っていますから、欧米を抜いていると思います。ノーベル賞の数だって、21世紀に入ってからはアメリカに次いで2位でしょう。イギリスもフランスもドイツも抜いています。 ですから、この東京というところは、欧米に勝るとも劣らないところまできているわけですよ。しかしながら、要するに真似です。東京は、日本で一番大きい平野でしょう。西の方に行くと箱根に上っていくわけです。富士山に登るところなんです。関西から行くと関ケ原があって、濃尾平野を通って、三方原台地からだんだんと富士山に登っていく。上る先は都じゃないか、と。 だから、かつては、京都から東に下るとか、今は東京から西に下るとかというけれども、実際は上っている。上る先は、日本の国土の統合のシンボルのあるところ。東京が中心と思っているその錯覚、思い込み。 これは、東京に都を移して、富国強兵で欧米と肩を並べて一生懸命背伸びしてやってきたときには、よかったかもしれないけれども、今は、それのマイナス要因が目立ち過ぎているということですね。そして、どんなに大きな億ションといったって100平米もあったら大きいじゃないですか、100平米といったって30坪でしょう。 ── 都内はそれくらいが限界です。 100平米なんていったらもうすごく広いという感じじゃないですか。だけれども、考えたら30坪ですよ。これは3世帯一緒に住むのは大変です。じゃあ、そうしたら、どんなライフスタイルがいいですか。やっぱり鍵一つのところがいいという人もいる。しかし、近くにせせらぎが流れていたり、あるいは、小さな庭でもいいから、そこで野菜を栽培したり、お花を栽培したり、実のなるものをつくってみたいとか。 それから駐車場代、東京だと、青空駐車でも月々5万ぐらい最低取られるでしょう。マンションだともっと高いかもしれない。さらに、マンションは自分のものでも管理費を払わないといけない。自分のお金で買ったとしても、毎年、億ションだと、ひと月何十万も払わなくちゃいけないじゃないですか、自分のものにもかかわらず。 ところが、田舎だと、駐車場も、青空駐車だろうと何であろうと、2台でも3台でも置けるということになれば、ライフスタイルをもっと選べるということになる。ということで、いろいろな生活の、暮らしの選択を皆さんに提供しようと、定住や移住する方たちに仕事の紹介ですね。