五輪開会式前日に演出担当の小林氏“ホロコースト問題”で電撃解任が世界へ波及…「さらなる混乱」「史上最も望まれない五輪」
米国の五輪放送権を持つNBC局の電子版は小林氏の解任を詳しく報じた。 「小林氏は、“ラーメンズ”というお笑いコンビの元メンバー。ホロコーストのユーモアを試みた彼の過去の作品が掘り起こされてツイッター上で拡散するど、ロサンゼルスのサイモン・ウィーゼンタール・センターなどのユダヤ人団体から即座に非難の声が上がった」 同記事もユダヤ人人権団体の「サイモン・ウィーゼンタール・センター」のラビ・エイブラハム・クーパー氏が発表した非難コメントを引用した。また、この動画を一番最初にインターネット上に投稿した人物が「わからない」ことも伝えた。 ウォールストリート・ジャーナル電子版の書き出しは、やや皮肉めいていた。 「『障がい者をいじめる』、『プラスサイズ”の女性に豚の衣装を着せることを提案』、『ホロコーストについてのジョークを言う』。これらは、普通は、国家の高揚のショーである五輪開会式に関連したヘッドラインである」 開会式に関しては、3月にクリエイティブ・ディレクターだった佐々木宏氏がタレントの渡辺直美さんにブタの衣装を着せ、その容姿を侮蔑するような演出を提案していた件で辞任、続いて楽曲を担当した小山田氏が、過去のいじめ発言で辞任、そして今回の小林氏の解任と次から次へと問題が続いており、同メディアは、「小林氏は、五輪式典のクリエイティブチームの中で物議を醸しながら去る3人目のメンバーだ」と指摘した。 1年延期した東京五輪は開会式を前にトラブル続きだが、雑誌ニューヨーカーの電子版は、「東京五輪は『怒りのゲーム』になってしまった」という見出しを取った特集記事を掲載している。 「五輪は、世界の一体感の象徴であるはずなのに、東京五輪は史上最も望まれていないものになりつつある」と批判。男子サッカーチームのキャプテンである吉田麻也のコメントを引用した。 「多くの国民の税金を使って開催されるオリンピックにもかかわらず人々は見に行くことができない。誰のためのオリンピックなのか、何のためのオリンピックなのか、疑問に思うわけです」 さらに「知名度の高い多くのスポンサーも疑問に思っているようだ」とし、トヨタ自動車が、「五輪に対する世論の高まり」を理由に、日本のテレビでの五輪関連のCM放映を中止したことと、他の企業もこの動きに追随したことをつけ加えた。同誌は、「怒りが収まる材料は見たらずさらなる混乱が発生した」としている。 新型コロナの陽性反応を示す選手やスタッフが後を断たず、感染予防対策のために定めた「プレーブック」を守られていない事例も表面化。組織委員会の橋本会長は、連日、メインプレスセンターでの会見で謝罪している。東京都の新型コロナの新規感染者は、2000人近くまで増加。緊急事態宣言下で、史上初めて「無観客」で開催される東京五輪は、その開催意義を問われる嵐の中で開会式を迎えようとしている。