五輪開会式前日に演出担当の小林氏“ホロコースト問題”で電撃解任が世界へ波及…「さらなる混乱」「史上最も望まれない五輪」
東京五輪・パラリンピックの開閉会式の制作・演出チームでショーディレクターに任命されていた元お笑い芸人の小林賢太郎氏(48)が過去にナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)をコントの題材にしていたとして大会組織委員会から電撃解任された。小林氏が以前結成していたお笑いコンビ「ラーメンズ」時代の23年前のコント動画が拡散し、SNSを中心に批判の声が強まり、米国のユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が「どんな人にもナチスの大量虐殺の犠牲者をあざ笑う権利はない。この人物が東京五輪に関わることは600万人のユダヤ人の記憶を侮辱している」との声明を発表。国際社会に波及したことが決め手となり開会式の前日に解任されるという異例の事態となった。 組織委員会の橋本聖子会長が公式会見で謝罪したが「小林氏が個別に手がけた部分はない」との理由で開会式は予定通り行われる運びとなった。開会式の楽曲を担当したミュージシャンの小山田圭吾氏が過去のいじめ発言問題で辞任したばかり。相次ぐスキャンダルの発覚は海外にまで波及。海外メディアも批判的な声を伝えた。 英ガーディアン紙の電子版は「ショー(開会式)のディレクター(小林氏)が1990年代後半に行ったホロコーストに関するジョークが原因で解雇されたことにより、東京五輪の開会式の準備は、さらに混乱している」と報じた。 「人気エンターテイナーの小林氏は『ユダヤ人大量惨殺ごっこ』と彼が呼ぶごっこ遊びについて冗談を言って観客の笑いを誘った寸劇のビデオクリップがネット上で再公開された後に解任された。(お笑いコンビ)“ラーメンズ”のひとりとして活動していた1998年に制作されたこのコントは、テレビの人気教育番組をパロディ化したもの。小林氏と相方が人の形に切られた紙を使い番組のアイデアについて議論している様子を表現していた」と説明。 米国のユダヤ人人権団体である「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が「小林氏が“悪意のある反ユダヤ的なジョーク”を言ったとして非難した」として、同センターが公式サイトで発表した声明文を掲載した。 ただ同紙は一方で小林氏を擁護するような意見があることも取り上げている。 「著名な脳科学者の茂木健一郎氏は『20年以上前の短い発言のためにコメディアンが中傷されるのは相応しくない』と話している。茂木氏はユーチューブで『彼は首尾一貫して人間の善良で愛に満ちた性質に焦点を当てた番組を作ってきた。あんなことをしなければよかったのだが、誰でも一瞬、不注意になることはある』と話した」