「ほぼ日手帳」好かれる理由 ユーザー目線でNo.1に 「ほぼ日手帳」(上)
広告やマーケティングに頼らず口コミで販路拡大
これほどまでに支持が広がったほぼ日手帳だが、広告キャンペーンに巨費を投じたわけではなく、販路も店頭は生活雑貨の「ロフト」、オンラインは公式ストアが中心となっていて、マーケティングの力を借りた成功とは縁遠い。 広告やマーケティングに頼らなかったのは、その分野を深く知る創業者の存在が大きかったようだ。本当に欲しいと思ってもらえる物でなければ、広告やマーケティングで盛り上げても、やがて売れなくなる。その宿命を知る糸井氏の覚悟は自然とチームに伝わっていたはずだ。 小泉氏は「大半は口コミで友だちや知り合いに宣伝してもらった。実際に使ってみて何かを伝えたくなる手帳なのかもしれない」と、ヒットの原動力がユーザーの後押しにあるとみている。だが、拡散効果を引き出したのは、ほぼ日手帳の商品力そのものだ。ユーザーが求めていた手帳をまっすぐに育て上げたチームの手柄ともいえる。 福沢諭吉が1860年代に日本へ持ち込んで以来、140年ほどたって、日本から生まれた新発想の手帳は今や世界商品となりつつある。後編では、ほぼ日手帳の企画・編集プロセスや海外での評価、多彩な商品バリエーションなどに迫る。