もう、後悔しても仕方ないからーーギャラ交渉も自分で、東出昌大35歳の今 #ニュースその後
俳優・東出昌大(35)は現在、山あいで狩猟をしながらの半自給自足生活をしている。スキャンダルから離婚、バッシングの嵐を経験し、東京には居場所を失った。あれから3年、山の暮らしに確かな安らぎを見いだしている。「もう“幸せ”なんて言ってはいけないんじゃないか……と思ったこともあります。でももう、ネガティブな言葉は吐きたくない。いま僕は、幸せです」。山は、東出をどう変えたのか。なぜ、自分をさらけ出すのか。そもそも東出昌大とは、どんな人間か。本格的な積雪シーズンが到来する前に、山のすみかを訪ねた。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
愛情を注げる相手ができて、心身ともに温かくなりました
少し道に迷ったが、予定よりも2時間ほど早く、東出の暮らす山小屋に到着した。いったんどこかで時間をつぶそうと考えていると、そこへ軽トラックに乗った東出本人が現れた。荷台には、命を落としたばかりの鹿が横たわっている。 「お~、ようこそ。コーヒーいれましょうか。どうぞ」 早すぎる到着を、気にかける様子もない。 促されて、山の斜面をのぼり、東出の住まいへ。所々に動物の骨や皮が落ちている。ビニールシートをめくると、そこは古い民家につながった半屋外のタープダイニングだった。食材や調味料、調理器具などが無造作に置かれ、キャンプというより、野営という言葉がしっくりくる。 東出は慣れた手つきで缶ストーブに薪をくべ、火をおこした。天井から吊られた網では、鹿肉を干してジャーキーを作っているという。ちょっと硬いかも、と言いながらジャーキーを回収し、ブラシで灰を落とす。タープの中は始終、灰が雪のように舞っていた。
表では、東出の愛犬、ツリーイング・ウォーカー・クーンハウンドの「しーちゃん」(6)が、荷台の鹿に向かってリズミカルに吠え続けている。 「すいませんね、うるさくて。放っといたらずっと吠えちゃうんですよ。知り合いの猟師さんから引き取った猟犬なんですけど、あの犬種は、獲物をかぎつけたら、木の上に追い込んで、飼い主に教えようと何時間でも吠える。グループ猟用の犬で、僕は“忍び猟”だからスタイルが合わなくて、猟には連れていかないんですけど」 犬と暮らすようになって、生活が変わった、とほほえむ。 「愛情を注げる相手ができて、心身ともに温かくなりました。夜も一緒に寝てます」 車に轢かれた鹿。連絡を受けて現場に駆けつけ、息があったところを、苦しみを止めるために絶命させて運び、川で冷やしていたという。 東出のアドバイスの下、皮を剥ぐのは、狩猟免許取得のため目下特訓中だという若い俳優仲間だ。東出に影響され、狩猟に目覚めて東京から引っ越してきた。昨年だけで、東出繋がりの移住者は4人。若者が増え、地元では大いに歓迎されているようだ。