祖父母が孫のために、毎年「100万円」を銀行口座に貯めていたそうです。総額「1000万円」なのですが、税金はかかりませんよね?「110万円」までなら大丈夫と聞きました…
孫のために金銭的な支援をしたいと考える人は多いのではないでしょうか。しかし、予想外に税金がかかったという話や、税務署からのチェックが入ったということも耳にします。しっかりと準備をしておかないと、予期せぬ事態を招く可能性があるため、よく検討してから贈与や相続を行いましょう。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
よくある失敗例:孫の名義で口座を作成しても贈与になっていないケース
「孫の名義で口座に毎年100万円積み立てています。110万円までなら贈与税はかかりませんよね?」 このような認識の人は多いかもしれませんが、これは正確ではありません。いわゆる名義預金で贈与したつもりになっているだけで、実際には贈与が成立していないことがあります。贈与契約は、渡す意思と受け取る意思が合致した場合に成立します。民法第549条では次のように記載されています。 「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」 そのため、まだ子どもが小さいからとか、孫を驚かせたいからとかの理由で、孫名義でお金を積み立てていても、孫のお金にはなっていません。仮に預金残高が1000万円ある口座を孫が大学生になった時に渡した場合、177万円も贈与税がかかる計算です。 贈与額:1000万円 基礎控除:110万円 税率:30%(※孫への贈与のため特例税率を使用) 税額控除:90万円(税率30%の控除額) (1000万円-110万円)×30%-90万円=177万円 また、お金を積み立てていた祖父母が先に亡くなってしまった場合は、贈与税ではなく相続税がかかることになります。
贈与を効率よく行うなら
まず、贈与の対象にしたい孫とその両親が口座を管理している状況を作りましょう。未成年である場合には親(法定代理人)が管理することになります。いずれにしても、受け取る側がもらったという認識を持つようにしなければなりません。 さらに、贈与契約書もその都度作成しておくのがよいでしょう。贈与契約書の細かい形式は決まっていませんが、金融機関のホームページなどからサンプルをダウンロードできます(図表1)。贈与契約書を作成する際、受け取る側が未成年の場合は親も署名・押印をしておきましょう。2通作成して、贈与する側とされる側がそれぞれ保管します。 図表1