ポンペイが入場者を1日2万人に制限。オーバーツーリズムを防ぎ、発掘・保存活動を推進
古代都市ポンペイは、西暦79年にヴェスヴィオ火山の噴火により壊滅的な被害を受け、1000年以上もの間、火山灰の下でほぼそのままの状態で保存されてきた。建物の中にはモザイクやフレスコ画も残っており、リアルな古代ローマ時代の日常生活に触れることができる観光地として知られている。 だが近年、同遺跡のオーバーツーリズムが問題となっており、11月15日から観光客の人数を1日2万人に制限することが発表された。イタリア当局の発表によると、ポンペイを訪れた観光客はこの夏だけで400万人に上った。最近でも、10月のある1日だけで3万6000人以上が訪れたという。この問題は世界各地の観光地で起こっており、ヴェネツィアは今年4月から日帰り訪問者に5ユーロ(約800円)の入島税を徴収している。 人数制限について、ポンペイ遺跡公園の総監督であるガブリエル・ツォクトリゲルは、ABCニュースの取材に対し、「その目的は、増加し続ける来園者の数を減らすことにあります。私たちは、観光客と、非常に珍しく壊れやすい遺産の両方にリスクをもたらす可能性がある人口過密を軽減するための一連のプロジェクトに取り組んでいます」と答えた。これにより、まだ約3分の1しか進んでいない発掘や、長期的な保存活動も促進できる。 稀有なポンペイの遺跡は、多くのアーティストのインスピレーション源にもなっている。今年の5月から9月までアメリカのアスペン美術館で開催された、アリソン・カッツによるグループ展「In the House of the Trembling Eye」では、ポンペイのフレスコ画の断片と、カッツ自身の作品、そしてルーチョ・フォンタナ、ジェフリー・ギブソン、エルスワース・ケリー、ケリー・ジェームズ・マーシャル、ジュリー・メレツ、ジョアン・ミッチェル、エリザベス・ペイトン、アリス・ニールといった現代アーティストによる作品が並置された斬新なものだった。(翻訳:編集部)
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