サケを頭にのせるシャチがネットで話題に、真相は 「望ましいことと捉えたい」と専門家
流行はサケの帽子だけではない
人はおもちゃに夢中になりがちだが、それはシャチも同じだ。 サケの帽子は「長年にわたってはやったり廃れたりしてきた『流行』の一つ」だとワシントン州にあるシャチ行動研究所の所長モニカ・ウィーランド・シールズ氏はメールで述べている。 「死んだサケを(胸)ひれにかけてスパイホッピング(海面から垂直に頭を出して周囲を見回す行動)をしたこともありますし、水中で海藻を引っ張ってはがし、空中に飛び出させたこともあります」 ジブラルタル海峡では最近、シャチが船を転覆させるという現象が起きているが、これも遊びや社会学習の一形態かもしれない。 シールズ氏によれば、いずれのケースも、シーズンを通して同じ行動が見られた後、消滅している。シールズ氏はサケの帽子について、流行が再燃したとは考えていない。 「個人的には、あれがサケの帽子だと言うのは無理があり、たった1枚の写真から、流行が復活したと言うのはもっと無理があると思います」 「彼らが昔から繰り返してきた行動の一つで、1980年代に人がたまたま気付いただけの可能性は十分あります」とジャイルズ氏も述べている。 理由は何であれ、サケの帽子は、これらの希少な生き物にとって、おそらく良い傾向だとジャイルズ氏は考えている。 「彼らがこのような行動をとっているのは、餌が十分に足りているためだとしたら、私はこれを望ましいことと捉えたいと思います」
文=Jason Bittel/訳=米井香織