Netflixがリカルドの貢献に感謝、F1離脱を惜しむ「番組にとって、一時代の終わり」
ダニエル・リカルドがF1から去ることを残念に思うのはファンだけではない。NetflixのF1ドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive(邦題:栄光のグランプリ)』のエグゼクティブプロデューサーを務めるジェームズ・ゲイ・リースは、リカルドがこの人気シリーズに長年大きく貢献してきたと語り、彼の離脱を惜しんだ。 【写真】2021年F1第14戦イタリアGP ダニエル・リカルド(マクラーレン)が優勝。CEOザク・ブラウンにシューイをさせる おおらかで陽気な性格で知られるリカルドは、『Drive to Survive』がスタートした直後から、誰からも愛される存在になった。リカルドは「すぐに皆の人気者になった」とエグゼクティブプロデューサーのゲイ・リースは述べている ゲイ・リースは最近、リカルドの魅力と彼が与え続けている影響について振り返り、F1ファンの定義を一新したこのシリーズに彼が間違いなく貢献したと語った。 「彼が素晴らしい役割を果たしてきたことに疑いの余地はない」と、『Box-to-Box』社のプロデューサーであるゲイ・リースは『F1.com』に語った。 「先日、シーズン1のスーパーティーザービデオをもう一度見直した。おそらく作ってからは見ていなかったと思う。今では随分前のことだ。その後、最初のエピソードを少し見たが、これは明らかにダニーのショーだった!」 「多くの人たちがこのシリーズをあまり受け入れていなかった時に、彼は受け入れてくれ、我々に多くの時間を割いてくれた。彼はとても好感の持てる人物で、最初から人に伝わるようなエネルギーを持っていた」 2018年に第1シーズンを撮影する前に、ロンドンのイーストエンドで制作チームがリカルドと初めて会ったことが転機となった。 当時レッドブルに所属していたリカルドは、この機会を大いに歓迎した。それはシリーズにとって大きな意味を持つことだった。すべてのドライバーが『Drive to Survive』が求めるレベルの立ち入りをよしとしているわけではなかったからだ。しかしリカルドは、その周囲に伝わる大きなエネルギーを持って、カメラの前で積極的に役割を果たした。 「ダニエルはカメラの前でとてもリラックスしていると思わないか?」とゲイ・リースはコメントした。「彼はとてもリラックスしていて、気負わずにカメラの前に立つ。カリスマ性があり、とてもクールな人物なので、撮影されることを特に気にしなかったと思う」 「あなたがダニエル・リカルドなら、それはとてもシンプルなことだ。ただ自分らしくいるだけで、皆がうまくいくのだ」 「多くのアスリートがそうだとは言えない。これはかなり一般化した話だが、多くのアスリートは気を散らされることを望まないか、面倒がるか、特に外向的ではないか、あるいは何かしらの理由を持っている」 素顔を見せたことによって、リカルドはファンに愛されるようになり、『Drive to Survive』にとって“うってつけの人物”になったという。 リカルドの役割はレース映像だけにとどまらなかった。彼は視聴者に私生活を披露し、ヨーロッパの拠点であるモナコや、オーストラリアで家族と過ごす様子を垣間見せた。このオープンさが彼の人間味を引き出し、新しいファンをF1に引き付けた。 リカルドと番組の関係は自然に発展し、ゲイ・リースは相互に利益があったことを認めた。 「ダニエルは番組の重要な一部になった。彼は礎だったし、ある意味では今もそうだ。そうなる運命だった。彼は自分のキャリアに何が起きても、本当に素晴らしいやり方で我々に教えてくれたので、双方にとってうまくいったと思う」 リカルドの陽気な性格は、パドックでのいたずらから機知に富んだ一言まで、シリーズの最も記憶に残る瞬間の多くを提供し、6シーズン全体を通して最も面白く、最も共感できるシーンをいくつか生み出した。 リカルドは、F1キャリアを通じてさまざまな浮き沈みを経験したが、『Drive to Survive』はそれらをすべて記録した。ゲイ・リースは、このほろ苦い旅を振り返った。 「大きな成功と大きな失敗があった波乱万丈の道のりだったが、それが現代のスポーツだ。『Drive To Survive』で描かれたように、彼はF1キャリアを通じて複雑な道のりを歩む最後のドライバーにはならないだろう」 リカルドがF1から離れることは、このシリーズにとってひとつの終わりを意味するという。番組は続くものの、リカルドがスクリーンにもたらした独特のエネルギーと個性を再現するのは難しいとゲイ・リースは示唆した。 「ひとつの時代の終わりではないだろうか?」とゲイ・リースは語った。「本当に幸せな結びつきだと思った。我々は今では多くのドライバーたちとそうした結びつきを持っているが、よいことだ」 「我々は彼を取り替えようとしているわけではない。我々は個人的にも、職業的にも、スポーツ的にも彼の不在を寂しく思うだろう。しかし、我々の誰ににとっても永遠に続くものなどない」 「もしこれが終わりなら、悲しいことだ。ある意味、ギュンター・シュタイナーを失ったのが悲しかった時のように、我々は同様に彼を失うことを悲しむだろう。しかし彼はまだ若いし、これから先、多くの時間がある。彼がどこへ向かうのか、誰に分かるだろうか?彼はきっと、これから先も豊かで輝かしい人生を送るだろう」 「彼は何らかの形で残るだろう……私は今後ダニー・リックと立場を交換しても構わないと思っている。どういう意味か分かるだろうか? 彼は多くの楽しい時間を過ごすだろう!」 [オートスポーツweb 2024年10月15日]