「読書=読解力」ではない。元塾国語講師が思う子どもの読書の勉強効果
「読書」と「読解」は違う!
読書によるよい影響は多いですが、重要なのは読書と読解はそもそも読み方が違うということです。子どもが読書をするときは気持ちが乗らなければななめ読みをしたり、難しい漢字や語彙を飛ばしたりします。だれかに感情移入をし、ときには最後まで読みきれないこともあるでしょう。これらは読解問題を解くうえで、よい読み方とは言えません。 漢字や言葉を読み飛ばせばそれらの知識は身につきませんし、そもそも易しい語彙で書かれた本を読んでいたら吸収するものは少ないですよね。文の量でも同じことが言えます。かといって中学受験に出題されるような物語を普段から好んで読みきれる子は少なく、無理に読まされても集中しては読めません。 読書は正確性を抜きにして、好きなように読み、本の内容を楽しむものです。しかし読解問題では、書かれていることを正確に読み取る力が求められるもの。文章すべてにきっちり目を通し、感情ではなく論理的に読み取っていきます。つまり、読書と読解は読み方が違うので、無理に読書をさせても読解力につながるメリットを得られるとは限らないのです。これが、私が子どもの読書に口を出さない理由です。
読解力を上げたいなら、読解問題を解かせたほうが効率的
子どもに読書をさせたい理由の多くは、読解力を身につけさせたいからだと思います。それならば読書と読解は分けて考え、読解問題を解かせたほうが効率的です。授業で扱わなかったテキストの文章などもどんどん読ませたいですね。 漢字は書いて覚え、語彙は普段の生活で分からないものに出会ったらすぐに調べたり聞いたりする。漢字や語彙の知識も文章を理解する読解力も、読書でなく勉強で身につけていけばよいのです。 読書による勉強効果はあくまで副産物です。読書が好きな子は読めばいいし、好きではない子は読解の勉強をした方が有意義だと考えます。それでも読ませたいなら、読書を趣味としての自由時間ではなく勉強時間としてカウントしてあげたいですね。
読めと圧をかけたら、活字嫌いになる可能性も
本は「読め」と言われると読みたくなくなる気がします。個人的には、圧をかけて活字嫌いにさせてしまうのは避けたいんですよね。もちろん子ども自身が読みたいというときはぜひ読ませたいと思っていますが、そうでなければ本人の好きにさせたいなと。 わが家の娘は読書好きですが、好んで読むのは中学受験で出題されるような本ではありません。同じ作家の同じシリーズを楽しんでいるので、勉強としての効果は薄いですが、趣味としてそのまま読んでほしいですね。 読書が好きな子なら、出題回数の多い作家やテーマの本を選んであげると入試にも役立つでしょう。わが家のように本人がそこまで読書に興味を示さない場合は、本人が活字嫌いにならないよう適度な働きかけにとどめ、本人が興味を示したときには全力でサポートしてあげるとよいのではないかと思っています。
天海ハルカ