「副業は可能ですか?」入社前から問う若者の盲点 副業で成功する人・失敗する人の違い 安易な副業は自分の成長を妨げる
「いつから副業できますか?」 内定を出していた大学生のKさんから、このような問い合わせがあった。あまりに突然のことで、採用担当者は驚いた。 【画像で確認】副業で成功する人・失敗する人の違いとは? 「入社する前にどんな準備を進めたらいいですか?」 「はやく戦力になりたいです。社会人になる前にどんな本を読んでおくべきですか?」 こんな質問はよく受ける。だが、内定者から「副業」に関する質問が来たのは初めてだった。 しかし頭ごなしに否定できない。多様性の時代だ。受け入れなくてもいいが、いったんは受け止めよう。そう思った。そのため、
「副業・兼業に関してはまだ規定がハッキリしていないので、入社してから説明しますね」 と、お茶を濁すように伝えた。すると、内定を辞退されてしまった。この採用担当者は頭を抱えた。 「上司に、なんて説明したらいいんだ……」 会社に入る前から副業を考える。10年前なら考えられなかったことではないだろうか。しかし今では、SNSやYouTubeで「誰でも簡単に稼げる」という情報があふれている。 スマートフォン1台あれば、どこでも仕事ができる時代。そんな環境の中で育った若者たちにとって、「副業」は当たり前の選択肢なのかもしれない。
しかし安易な副業は、かえって自分の成長を妨げることになる。私は20年以上のコンサルティング経験から断言したい。昨今、巷(ちまた)にあふれる「副業奨励」のムーブメントには反対だ。特に会社員としての経験が未熟なうちから、副業で成功したいと考えるのは、やめたほうがいい。 今回は、副業に関する誤解やリスクを、実例を交えながら解説していく。就活生や若手社員はもちろん、ベテラン社員にとっても参考になるはずだ。ぜひ最後まで読んでもらいたい。
■なぜ副業を奨励するのか? 世間では副業を奨励する風潮が強まっている。その背景には、政府が2018年に策定した『副業・兼業の促進に関するガイドライン』がある。このガイドラインによって、企業は従業員に副業を許可しやすくなったのだ。 リモートワークの普及も、副業する人が増えた大きな要因として挙げられる。2020年の新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がリモートワークを導入した。その結果、従業員は時間を効率的に使えるようになり、副業に対する意欲も高まった。