「副業は可能ですか?」入社前から問う若者の盲点 副業で成功する人・失敗する人の違い 安易な副業は自分の成長を妨げる
このようなMさんタイプの人は、副業によって本業では得られない経験を積み重ね、ますます仕事に磨きをかけていく。 新たな業界や異なる規模の企業からのオファーを通じ、視野が広がったり、最新のマーケティング手法を実践する機会を得たりする。そうした学びを本業に還元しながら、より大きな成果を出す好循環が生まれるのだ。 ただし、Mさんのような成功例にだけ目を向けるのはリスキーだ。 Mさんの場合は「本業の延長線上で成果を出せるスキルを確立していた」から成り立った。ゼロの状態からいきなり副業だけで稼げるようになったわけではない。こうした点を理解せずに、「副業なら簡単に稼げる」と勘違いしてしまってはならない。
■「本業がおろそかになっちゃう」は最悪 次に副業で失敗する事例を紹介しよう。失敗する人は、次のような流れをたどる。 (1)本業で成果を出せない (2)副業に手を出す (3)本業がおろそかになっちゃう キーワードは「本業がおろそかになっちゃう」という部分だ。とくに仕事がうまくいかないまま副業を始める人は、時間を切り売りする「代行業」のような仕事になりがちである。 たとえば深夜に内職のような業務を請け負ったり、SNSの運用代行を低単価で引き受けたりといった具合だ。長時間労働の割に低い報酬しか得られないことが多い。
このような副業を選んだ場合、当然ながらやりがいは感じにくいし、大きなスキルアップにもつながらない。長い時間をかけても収入はごくわずか。睡眠不足のまま本業に向かうようになれば、ますます本業のパフォーマンスが落ちていく。 結局は「どちらつかず」になり、成果も評価も得られない悪循環に陥ってしまう。まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」である。 「大学時代に起業した経験があります」 「社会人になる前から、3社の顧客がついています」
こんな実績があるならともかく、まだ一度も働いてもいないのに「副業ありき」で社会に出るだなんて、あり得ないのだ。 仕事ができない人は総じて「自己研鑽」に力を入れていない。たとえば自分の専門領域を高めるための勉強をおろそかにし、時間だけを切り売りする仕事を増やしてしまう。 さらに忙しさにかまけて「勉強する時間がないのだから仕方ない」と考え出すと、会社で求められるスキルの習得もおろそかになり、同僚との能力差が広がっていく。