坂本の町で見た無骨で美しい石垣に感動!! 最強の矛と盾「石垣の穴太衆」と「鉄砲の国友衆」を巡る
今村翔吾氏の『塞王の楯』(集英社)です。2021年に第166回直木賞を受賞したこの作品は、主人公の穴太衆頭目、飛田源斎と、鉄砲集団「国友衆」の次期頭目、国友彦九郎の対決を描いたフィクションです。 この話の中で、主人公が石の声を聞き、石を切り出し、迅速に運搬し、積み上げたり修復する様子が描かれています。どの仕事も重要です。これらの技術は紙などに残されておらず、口伝のみとされています。 その真の理由はわかりませんが、城の守りの要を扱うということは、城主にとって最重要である防御機構の情報を得ているということでもあり、機密情報を扱う職人としての心得だったのかもしれません。 逆に言えば、城の構造を熟知する穴太衆は、ある意味忍者のような諜報活動に長けた集団のようにも思えたのですが、実際には、穴太衆のみの口伝に徹し、信頼という武器を得て、今の時代にもその技術が受け継がれているのでしょう。
ちなみに、穴太衆の活動拠点である坂本は滋賀県琵琶湖の西南側で、明智光秀の築いた「坂本城」に程近いところにあります。 一方、鉄砲の国友衆は琵琶湖の北東になります。小説では双方が敵対関係にあったというシナリオでしたが、実際にはそんなことはなかったようです。 しかし、最強の盾と矛、最強の石垣作りと最強の鉄砲作りに従事した特殊技術集団が同時代にこの地に存在していたこと自体、歴史好きにとってはワクワクしてきます。坂本の石垣を堪能した後は、バイクで国友町へ走りました。
バイクのニュース編集部