70歳男性がコロナ禍で無一文・ホームレス直前でたどり着いたシェアハウス、不動産会社が居住支援続ける理由とは。大家の理解広がる新展開も プライム・神奈川県座間市
事務所の隣にシェアハウスを開設。自身で運営も
このような状況を受け、プライムは2020年に事務所の隣にシェアハウスを開設しました。 2階建ての中古戸建ての1階を店舗として貸し出し、2階部分は1部屋7畳ほどの3LDK。個室にはそれぞれエアコンを設置済みです。キッチン・バス・トイレなどの水回りをシェアする形で、1人あたり月4万1000円の家賃のほか、光熱費や食糧支援の費用として、1万5000円がかかります。いずれも生活保護で支給される住宅扶助と生活費で賄える金額です。 プライムに相談に来る人たちの約8割は男性なので、現在、入居しているのも男性3人。30代~70代と年齢や境遇もさまざまな状況で生活保護を受けています。 している(画像提供/プライム) 「入居しているのは老人ホームなどの施設に行くか、自立して生活できるか、ギリギリの境界にいる人たちです。一人暮らしなら孤立死などのリスクがあるので、行政は施設への入所を勧めるでしょうが、私は可能性があるのなら、なんとか社会と関わりを持てる環境を提供したいと思い続けてきました。 そんなときにちょうど事務所の隣の建物が売りに出て、立地的に私たちの目が届きやすいと購入したのです。病気がちなど、より近くで見守りが必要な人も、シェアハウスなら互いに見守りができます」(石塚さん)
無一文でプライムにたどり着いたSさんのシェアハウスでの暮らし
住人の一人で、以前はフィリピンでレストランを経営していた経験もあるSさん(70歳)は、掃除や整理整頓をするよう他の住人たちに促すなど、自ら管理人的な役割を担っています。そのおかげもあり、石塚さんが多くを口出しせずとも、住人たちが自ら共用部の掃除やゴミ出しなどを行い、規律のある生活ができているそうです。 「コロナ禍でフィリピンでの事業が立ち行かなくなり、無一文になった私は大使館を頼って、やっとの思いで日本に帰ってきました。YouTubeでプライムの活動を知り、とにかく話だけでも伺いたいと門を叩いたんです。持病もあったのですが、ホームレスにならずに、こちらに入居することができました」(Sさん) 家族ではない人と一緒のシェアハウスの暮らしに不安はなかったのか尋ねると、むしろ「誰かがいるほうが心強い」との返答が。「夜遅くに電話して、うるさい」など、住人間でクレームがあっても、話し合いで解決できているとのこと。ただし、仲間というよりは同居人として「プライバシーには深く入り込まないのがうまくいくコツ」だとSさんは話します。
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