この夏のヒアリ対策 上陸を徹底阻止し、万一の定着にも備える
昨年(2017年)5月に神戸港で輸入コンテナからヒアリが初めて発見されてから、まもなく1年を迎えます。昨年は、最初の発見以降、東京・横浜・名古屋・大阪・博多など主要な国際港湾を中心に次々とヒアリの上陸が報告され、11月までに12都府県から計26件、6,500匹以上の個体が確認されました。 その後、冬に入り、ヒアリの活動も低下したため、発見事例はなくなり、世の中的にもヒアリのことは記憶から消えかかっているようにも見えます。しかし、ヒアリはいなくなったわけではなく、今年も夏が近づくにつれて、再び上陸してくる数は増えると予測されます。
昨年、ヒアリが発見されたコンテナの多くが中国広東省・広州市の港から輸送されたものであることから、ここが日本に侵入するヒアリの「震源地」と推定されています。中国広東省ではヒアリの侵入は2005年に確認されていますが、そのときからすでに広範に生息していたとされ、今も分布拡大が続いています。様々な物資を中国からの輸入に頼っている我が国にとって、ヒアリの侵入はこれからもずっと続くと覚悟しなくてはなりません。
ヒアリはもう定着しているのか
これまで日本ではヒアリはコンテナ置き場のコンテナ内およびその近辺において、個体もしくは集団でいるところを発見されているだけで、港の周辺の緑地帯や市街地、あるいは内陸部において、営巣しているところは見つかっていません。こうした状況から、本種はまだ国内で繁殖には至っていないと判断されています。 しかし、ヒアリは地下に巣を作り、その動きは地表からはわかりにくく、巣の特徴である「アリ塚」も営巣初期には目立たないので、すでに国内で営巣を開始していたとしても、すぐには見つからないと考えられています。アリに限らずあらゆる外来生物はその定着が発見されるまでに侵入してから10年はかかると言われており、気が付いたときにはすでに広範に分布が拡大しているというケースがほとんどです。従って、ヒアリについても定着はしていないと断言することはできません。