H3ロケット、3機連続打ち上げ成功 防衛通信衛星を搭載
大型ロケット「H3」4号機が4日午後3時48分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。防衛省の防衛通信衛星「きらめき3号」を所定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。H3は2001年から運用中の「H2A」の後継機。昨年3月に1号機が失敗したのを受けて対策を講じ、今年2月の2号機、7月の3号機に続く成功となった。3機連続となり、新世代ロケットとして安定性を世界に示す道筋がついた形だ。
H3は打ち上げの約5分後に1段、2段機体を分離した。2段エンジンの燃焼を2回にわたり正常に行った後、打ち上げの約29分後、きらめき3号を静止遷移軌道に投入した。
会見した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長は「三菱重工業など関係企業と共にH3の着実な開発を進め、日本の宇宙輸送システムとして自律性を維持し、国際競争力を確保し、また打ち上げ実績を積み重ねることで信頼を獲得するべく、実直に取り組んでいく」と述べた。有田誠H3プロジェクトマネージャは「非常に大きな一歩。搭載した衛星の重要性を考えても、非常にホッとしている」と笑顔を見せた。
H3はH2Aと、2020年に運用を終了した強化型「H2B」の後継機。2段式の液体燃料ロケットで、1~4号機の全長は57メートル、衛星を除く重さ422トン。H3の最大能力はH2Bの6トンを上回る、6.5トン以上(静止遷移軌道、赤道での打ち上げに換算)だ。JAXAと三菱重工業が共同開発。H2A、小型の固体燃料ロケット「イプシロン」とともに、政府の基幹ロケットに位置づけられる。将来的には打ち上げ業務を、H2Aと同様にJAXAから同社に移管し、市場に参入する。
4号機の機体構成は3号機までと共通で、1段エンジン2基、固体ロケットブースター2基を装備した。H3による静止衛星の打ち上げは今回が初めてとなった。衛星にかかる負荷を軽減するため、1段エンジンの推力を一時的に絞って加速度を抑える「スロットリング」を3号機に続き実施した。