なぜ「パーパス経営」は組織を疲弊させるのか。“きれいごと”に社員は冷めている
解決策はワークショップなどを通じた「対話」
パーパスへの共感を高め、従業員に自分ごと化してもらうためには「対話」が欠かせない。そのためワークショップなどを開催して、対話を掘り下げることが重要だ。対話のポイントを3つ紹介したい。 ①会社との対話「会社のパーパスの深層を理解する」 表層の言葉だけでなく、そのパーパスが生まれるに至った会社の歴史や、大切にしてきたアイデンティティ、これから目指す未来の状態などを、従業員に深く理解してもらう必要がある。そのためには、経営陣と従業員が直接対話する機会を設けるのも効果的だ。 ②自分との対話「自分の経験や価値観を掘り下げる」 従業員にマイパーパスを策定してもらう場合、ただワークシートを提出してもらうだけでは不十分だ。忙しくて考える時間がなかったという理由で、表層だけのマイパーパスが掲げられることも少なくない。しっかりと時間を設けて、これまでの経験や価値観を掘り下げ、人生の目的や働く意義に向き合ってもらえるように工夫したい。 ③仲間との対話「複数の視点でパーパス、マイパーパスを見つめる」 パーパスの浸透を図る際、従業員同士の対話を促すのも効果的だ。他者の視点を知り、会社のパーパスについて理解が深まることもあるし、他者の意見を聞き、自分のマイパーパスをブラッシュアップできることもある。仲間との対話は、上述した①②の効果を増幅させてくれるだろう。
松田佳子