奈良美智が青春を過ごしたロック喫茶「JAIL HOUSE 33 1/3」が〈弘前れんが倉庫美術館〉へ。
かつて弘前に実在し、奈良の創作の原点にもなったロック喫茶「JAIL HOUSE 33 1/3」。〈青森県立美術館〉の展覧会『奈良美智:The Beginning Place ここから』で再現されたこのロック喫茶が展覧会終了にあたり〈弘前れんが倉庫美術館〉へ移築、常設展示が決定。“記憶が集まる倉庫“に、《A to Z Memorial Dog》に加え、ロック喫茶という奈良の青年時代の記憶が加わることになった。 【フォトギャラリーを見る】 2023年秋、〈青森県立美術館〉で開催された展覧会『奈良美智:The Beginning Place ここから』では、かつて弘前に実在し、奈良の創作の原点にもなったロック喫茶が、過去の写真や奈良の記憶の断片を手繰り寄せながら再現された。このロック喫茶「JAIL HOUSE 33 1/3」が、〈弘前れんが倉庫美術館〉へ移築され、常設展示されることになった。 「〈青森県立美術館〉での展示が終わって、ロック喫茶は廃棄される予定だったんだけど、〈弘前れんが倉庫美術館〉に移してもらえることになって。ここには《A to Z Memorial Dog》もあるし、不思議と過去の記憶が集まる場所になっているよね」(奈良美智)
建築家の田根剛が「記憶を継承する現代美術館」として設計し、2020年に開館した〈弘前れんが倉庫美術館〉。このれんが倉庫は、弘前の町を長く見守ってきた建物であり、2002年、2005年、2006年の3回に渡り、奈良が展覧会を行った場所でもある。2006年の『YOSHITOMO NARA + graf A to Z』展の終了後には、その時の熱気や記憶を留めるために、ボランティアの方々へ《A to Z Memorial Dog》が贈られた。そんな「記憶が集まる倉庫」の中に、また一つ、ロック喫茶という奈良の青年時代の記憶が加わることになった。 この日、奈良がかつて通っていた弘前市立文京小学校の児童たちが展示を観に来ていたという偶然も重なり、奈良は弘前に住んでいた頃を懐かしみながら振り返る。 「あの頃はまだ美術の道に進もうなんてぜんぜん思ってなくて。進路も文系の文学部に進めばいいかなって思ってんだよね。そんな時に先輩がロック喫茶をやるというから、『奈良くん器用だから手伝って』と言われて、施工から携わったんだよね。実際のロック喫茶はこの倍の大きさだったんだけど、高校生だったせいか、当時の印象とあまり変わらないかな」(奈良)