トヨタ自動車が2年ぶり決勝進出 来秋ドラフト候補、最速155キロ右腕の後藤凌寿が好救援
◇第49回社会人野球日本選手権準決勝 トヨタ自動車4―2JFE西日本(2024年11月8日 京セラD) 準決勝2試合が行われ、トヨタ自動車はJFE西日本を4―2で下して22年以来2年ぶりの決勝に進んだ。来秋ドラフト候補に挙がる最速155キロ右腕の後藤凌寿投手(22)が2大大会初勝利となる2回無失点の好救援。住友金属に並ぶ史上最多7度目の優勝を懸けて、きょう9日にHondaとの決勝に臨む。 トヨタ自動車にまたも好投手が現れた。新人の後藤が同点の7回から2番手として救援。2回を無失点に封じ、チームを2年ぶりの決勝に導いた。 「内容がどうであれ、無失点なら大丈夫。割り切って投げられたことがよかったです」 2イニング目の8回だった。単打2本と四球で2死満塁を招くと、マウンドに来た藤原航平監督から「自信を持って投げなさい」と伝えられた。初球に153キロ直球を見せ、1ボールからスライダーで遊ゴロ。その気迫の投球が直後の2点勝ち越しを呼び、2大大会初勝利を手に入れた。 今大会初登板だったNTT東日本との2回戦で自己最速を3キロ更新する155キロを計測。今回は全33球中19球で直球を選択し最速154キロを含む13球が150キロ台と押し込み続けた。そして「相手が直球を張っていた」と勝負どころは変化球でかわす投球術も光った。 今年9月、中国で開催されたU23W杯に日本代表として出場した。先発の座をつかみ、大会連覇に貢献。「代表を経験してからピンチでも慌てなくなった」。勝敗の分かれ目となった8回の満塁機も頭の中は冷静だった。 満塁での攻防はチームの課題でもあった。今夏都市対抗の三菱重工Westとの2回戦。同点の7回1死満塁で元阪神の北條史也に決勝打を浴びた。投手陣は、夏場に「満塁でも自分の球を投げ切れるようになろう」と取り組んできた。鍛えた勝負強さを新人右腕が全国舞台で体現した。 「最少失点で勝ちたい」。同社は近年、栗林(広島)や吉野(DeNA)らをプロに輩出。強豪に現れた新たなドラフト候補が頂点に向けて勢いを加速させた。 (河合 洋介) ◇後藤 凌寿(ごとう・りょうじゅ)2002年(平14)2月16日生まれ、三重県出身の22歳。大池中、四日市商(三重)を経て東北福祉大に進学。大学4年時にプロ志望届を提出するも指名漏れ。トヨタ自動車では入社1年目から都市対抗、日本選手権に登板。1メートル83、82キロ。右投げ右打ち。 ≪佐藤が8回に決勝打≫ ○…佐藤勇基が決勝打で接戦にケリをつけた。同点の8回2死一、二塁。交代直後の下手投げ右腕・津山裕希から左翼線へ2点二塁打を放った。ライナー性の打球を増やすため、今夏の都市対抗後から打球角度を8~15度の範囲で打てるよう意識してきた。「課題に取り組んだ結果が出てくれた」と笑顔を浮かべた。