高級百貨店が“中古品”に参入した理由──Jフロントとコメ兵が買い取り店設立
広々とゆとりのあるフロアに、ラグジュアリーブランドが立ち並ぶ──。百貨店と言えば、そんな華やかなイメージを持つ人も多いだろう。 【全画像をみる】高級百貨店が“中古品”に参入した理由──Jフロントとコメ兵が買い取り店設立 昨今はインバウンド需要に沸き、都市部を中心に外国人客でにぎわう百貨店だが、業界全体としては1990年代をピークに市場規模は縮小している。そんな百貨店が次のビジネスとして注目している領域がリユース市場(中古品ビジネス)だ。 大丸松坂屋百貨店やパルコを運営するJ.フロントリテイリング(JFR)は2024年11月、リユース事業への参入を発表した。 かつてリユース商品といえば、安価で買える一方で、品質の面では劣っているとみられることも多かった。近年ではリユース市場が拡大し、質の高いブランド品を売り買いできる場として注目されている。 こうした流れを受け、JFRでは2025年夏以降、大丸松坂屋などの店舗で、顧客からブランド品などの中古品を買い取りを始める。 高級路線の代名詞とも思える百貨店だが、「中古品」の買い取り・販売に参入する狙いはどこにあるのか?
「億単位」の利益見込む
「2030年には、グループでそれなりの規模感の利益を出す計画です。具体的には、何千万ではなく億円単位の営業利益を稼ぐ」 この事業を率いるJFR経営戦略統括部・事業企画部事業創造担当の丸岩昌正部長は、今回のリユース事業が見込む利益規模についてこう話す。 JFRはブランドリユース最大手のコメ兵と買い取り専門の合弁会社(JV)を設立し、2025年夏から、大丸、松坂屋、パルコにブランド買い取りの専門店を出店する。 ブランド鑑定にはコメ兵がノウハウを提供し、鑑定士の育成にも携わる。買い取り専門店で買い取ったブランド品はコメ兵に売却し、コメ兵が自社の販路で再販する。大丸や松坂屋、パルコなどでは販売しない。 買い取り専門店の店舗数は3年で約20店、5年でJFRのほとんどの商業施設に出店する計画だ。百貨店主体のリユース事業としては、三越伊勢丹が2021年に始めた「アイム グリーン」が5店舗で展開するが、それを超えるスピードで出店していく。