前回の大噴火から、300年超の富士山…!なんと「噴出待ちのマグマ」は、東京ドーム240杯分
富士山は、「いつ噴火してもおかしくない」火山。いつ、どこで噴火するのか。それを予知することができれば、被害を大きく軽減することができます。 【画像】宝永からマグマを溜め続けた富士山…次の大規模噴火は新たな段階? 噴火予知の5要素のうち、火山性地震の観測で「いつ」「どこで」を予測する火山性地震、山体の変化、ガスの成分などの観測について解説してきました。今回は、富士山地下に溜まっているであろう「マグマ」について考察します。 *本記事は、ブルーバックス『富士山噴火と南海トラフ 海が揺さぶる陸のマグマ』から、内容を再構成・再編集の上、お送りします。
富士山の下では、どのくらいのマグマが生産されているか
富士山の次の噴火の「いつ(時期)」「どこから(場所)」を予測するとともに、「どのような形態で(様式)」「どのくらいの激しさで(規模)」「いつまで続くのか(推移)」をも予測するには、過去に地下から富士山に供給されたマグマの量を調べるという方法が有効である。地下でどのくらいのマグマが生産されているかは、今後の予測の決め手となりうる。 これまでに富士山から噴出したマグマの量を1000年ごとに合計して比較してみると、非常に興味深いことがわかる。時代ごとに、マグマをたくさん噴出したのか、少しだけしか噴出しなかったかという全体の傾向を読みとることができるからだ。 結論から言うと、富士山は、1万1000年前以降の火山活動は5つのステージに分けることができるが、山頂で爆発的な噴火がしばしば起こったステージ4が始まる約3200年前を境にして、それ以前はたくさんマグマを噴出し、以後はあまり噴出しなかったのである。 このような時間あたりのマグマの出ぐあいのことを「噴出率」という。 ちなみに、46億年の時間を相手にする地球科学では、ある現象が起こる時間的な割合(率)について議論するときに、1000年あたりの値で比べることが多い。地球の動きは緩慢なので、1年あたりの値では小数点以下にゼロがたくさんつく数字を扱うことになり、大変不便だからだ。 たとえば活断層が活動的かどうかを表すときも、1000年あたりに地面を動かした量が用いられる。では、富士山の噴出率は、どれくらいあるのだろうか。