UI、プロセス、インフラ、データの領域でモダナイズ支援--日本リミニストリート・脇阪社長
2025年に向けたIT企業のトップメッセージを紹介する。 日本リミニストリート 代表取締役社長 脇阪順雄氏 さて、2018年に経済産業省が「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」を発表してから遂にその2025年を迎えました。国際経営開発研究所(IMD)のデジタル競争力ランキングによると、日本は2020年の22位から31位に低下しています。もちろん、デジタル競争力だけが日本の力を表しているわけではありませんが、この世界において「デジタル」の力は、企業間競争力にも大きな差別化要素になることは言うまでもありません。 DXレポートでは、多くの経営者がDXの必要性を認識し、DXを推し進めるべく、デジタル部門を設置し、さまざまな取り組みを行い、まとまった投資を行うものの、実際のビジネス変革にはつながっていないなど、企業の事業の維持・存続への懸念を指摘していました。また、デジタル技術を活用したビジネス推進が求められている一方で、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムを使用している企業も多数存在し、データ活用のために既存システムが抱える課題を解決していくことが求められていることも指摘していました。 DXレポートで指摘されている事項は、まさに私どもがご支援させていただいているお客さまが日々実感されていることではないでしょうか。そのためか、「2025年の崖」という言葉を「SAP ERP Central Component(ECC)」(特に「Enhancement Package 5」〈EHP5〉以下のバージョン)の2025年メインストリームメンテナンス終了の意味と絡めて使われているお客さまを数多くお見受けいたしました。 そのメインストリームメンテナンス終了ですが、2025年を迎えた今でも、対応を検討中もしくは対応中のお客さまが、まだまだ多くいらっしゃると感じています。2025年のメインストリームメンテナンス終了についてさらに申し上げるならば、今後の企業の基幹システムの在るべき姿を考えたとき、単なる目の前のSAP ECC 6.0のサポート終了の問題だけではなく、中長期のITロードマップを考慮すべきではないかと考えています。 昨今、SAPを含む多くのERPベンダーは、ERPのSaaS化を推し進めています。SaaS型のERPは、戦略領域に多くみられるその企業に特化したビジネスプロセスを実現するための拡張開発には制限があり、非競争領域であるプラクティス(=慣習:変化の少ないプロセス)のみの仕様にとどめていく必要があります。Oracle、Microsoft、Infor、WorkdayといったグローバルERPベンダーが皆足並みをそろえ同じ戦略を推し進めていますが、SAPだけはプライベートクラウドで動作する「S/4 HANA Private Cloud Edition」を用意しています。そのため「アドオンが多い現状のERPを移行する先はSAPしかなくなってしまった」と多くの最高情報責任者(CIO)からため息交じりでお話を伺うことがあります。 ただ、SaaS型がグローバルスタンダートとなるそう遠くない未来が見えている今、あえてS/4 HANAのオンプレミス版、もしくはPrivate Cloud Editionに移行するメリットはあるのでしょうか。たとえ規模の小さなシングルインスタンスでも1年、グローバルに大規模展開している複数インスタンスからなる基幹システムならば5年以上の時間を要することもあるでしょう。また、新しいシステムを稼働させるためには、時間や費用、人的リソースを大量に消費するだけではなく、プロジェクトリスクとそれに伴うビジネスリスクも考慮しなくてはなりません。 リミニストリートは、いきなりSaaS型ERPへクリーンコアへの完全移行するのではなく、ECC、S/4 HANAのオンプレミス版、Private Cloud Edition、もしくは他社のERPで構築した現在の環境をビジネスの優先順位の高いところから、コアと戦略領域を分離し、戦略領域はその目的に最適な様々なSaaSソリューション上で再構築を行うことを提唱しています。これにより、御社のビジネス戦略と優先度に基づき、スモールスタートを実現し、いち早くチャンスをものにしていくことにより、収益の実現と持続的成長を実現します。また、並行して、さまざまな内的/外的要因を考慮しながら、近い将来やってくるSaaS型ERP時代に対応するクリーンコアの実現を自社のITロードマップに沿って進めていただくという考えに基づくものです。ERPベンダーの言う、まずERPを最新にすればDXが実現できる、収益の実現と持続的成長を実現できる、という考え方と180度異なる考え方です。 さらに、DXレポートで提唱されている複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、仕分けし、必要なものについて刷新しつつ、AIなど最先端テクノロジーや手法を通じたシステムのモダナイゼーションは必要です。リミニストリートは2024年、ユーザーインターフェース(UI)とプロセスのモダナイゼーション領域において、ServiceNowとの協業も発表いたしました。2025年は、UIのモダナイゼーション、プロセスのモダナイゼーション、インフラのモダナイゼーション、データ使用のモダナイゼーションと幾つかの領域に分けて皆様のビジネスを支援させていただくことが可能となりました。