ウーバーイーツ労組が会見 事故実態調査へ(全文3)物損事故で不十分さを感じた
賃金を下げないと無理との主張へ反論は?
日本経済新聞:例えば、一義的には制度の話だと思うんですけれども、仮にプラットフォームで働かれている、いわゆるギグワーカーというような見方をされている方たちも対象にした場合、プラットフォーマー側が、賃金を下げないと無理だというような主張をしてくることが十二分にあり得るかと思うんですけれども、それに対してはどのように反論されていくのか、お考えがもしあればお伺いしたいんですけれども。 川上:そこは、ウーバーイーツのこのユニオンをみんなでつくろう、みたいな動きを去年の5月ぐらいからあって、いろんな配達員の方とお話をする中で、やっぱり、いや、ここは変えたほうがいいけど、ここは別にっていう、いろんなそれぞれ意見があるんですね。だけれども、配達員の方たちの意見が割れなかった1点というのは、やっぱりこの労災なんですよ。ここは、どんな意見の配達員の人たちもみんな一様に、これがないのはおかしい、これは付けてほしいって言っていたとこなんですね。 で、議論がよく分かれたのは最低補償なんですね。別に最賃とか要らないしとか、そんなの稼げるか稼げないかは配達員の力量だと。そんなところまで補償を要求するやつは、普通のバイトやればいいという声のほうが多かったように感じています。ただ、それは一定程度の稼ぎの水準があるからっていう状況の中でそういう声が強いというふうに思うんですよ。12月から、11月29日から1キロ辺りの報酬が6割カットされましたよね。稼げなくなるっていう状況が、もし下手すれば最賃を割ると。あれだけ頑張ってやっても最賃割っちゃうみたいな報酬水準になってきたら、たぶん配達員の方の中からも、最低補償を付けるべきだと。例えば最賃法の適用をすべきだっていう声は出てくると思うんですね。なので、そういう最低補償っていう、法的義務とセットで考えるべき問題じゃないかと思いますけど。
賃下げの受け入れも検討するのか?
日本経済新聞:仮にこの最低補償が今、よりも現状、上にあるものだとしたら、実質的な実入りが少なくなる可能性はあるかと思うんですけれども、それはある程度受け入ることも検討されるんですか。それはまだ決まっていない? 川上:受け入れる、受け入れない。 日本経済新聞:ごめんなさい、先々の話なので、まだ想定に想定を重ねたような話ですけれども。会社側に当然、労災だとコストが発生するので、その分皆さんの賃金を回します、彼らとしてはたぶんそうすると思うんですけれども、あるいはその議論自体がおかしいから、今の賃金を払いつつも労災のコストもそちら側で負担するべきだというような主張なのか、ある程度、賃金を下げてでも労災を加入するというような言い方を向こう側がしてきた場合に、そこは交渉の余地は。 川上:そこは結局、どれだけ労働組合、働く側、働き手の力が団結というか、力が強くなるかっていう問題だと思うんですね。結局今のこの社会の問題っていうのは、日経新聞ですよね。 日本経済新聞:はい。 川上:日経新聞も年頭からの特集で、「逆境の資本主義」でした? 日本経済新聞:ええ。 前葉:やっていると思うんですが、とにかく資本主義が機能不全を起こしているというのは、ほぼかなりの共通認識になりつつありますよね。それはどういう問題かっていうと、資本主義は富を生み出すと。そういう機能はある。しかし、富の分配機能においてまったく機能していないんじゃないかと。キャピタルゲインに偏向しすぎて、賃金のほうに回っていないと。だから、過去30年ぐらいの間、実質賃金はいっさい上がっていない。または、もう下がっているぐらいなわけですよね。