世界のスタートアップが集結した「Sushi Tech Tokyo 2024」密着レポ いま知りたいイノベーションに迫る【前編】
【フィンランド/TactoTek】エコロジーな外観をつくる成形技術
特許取得済みのTactoTekは、自動車や航空機、家具や家電などの外観をエコロジーに変える成形技術を提供する。 同社のホームページには、「表面、構造、機能を1つの射出成形3D設計に統合し、従来の電子機器よりも組み立てや統合の課題を軽減する」と説明があり、従来の電子機器の製造方法と比較して、最大で温室効果ガスを60%減、プラスチック使用量を70%減、質量を70%軽量化できるという。
環境負荷を抑える成形技術を持つTactoTekのサンプル(筆者撮影)
国内では人口減がさけばれているが、世界に目を向けると2050年に97億人に増加する見通しだ。人口過密都市のオフィスへ向けたソリューションとしてMIROSが提供するのが、オフィススペースを45%最適化する折りたたみ式デスク「EvoWall」。
未使用時は折りたたんでフラットな状態に、使用時は引き出すとデスクになる。また、未使用時は天井部に収納し、使用時は上から降りてくるタイプのデスクも。用途に応じてスペースを柔軟に使い分けたい企業には役立ちそうだ。
【日本/ミルオト<AISIN・早稲田大学・Hogaku>】競技の雰囲気や音を見える化
日本企業と大学が協業して開発している「ミルオト」は、競技の雰囲気や応援のエネルギーを擬音にして表示させることが可能なシステムだ。これまであまり重視されてこなかったスポーツの試合におけるビジュアル的な要素を提供し、難聴や聴覚障害がある人の補助にもなる。 AISINは音声認識技術の開発を、早稲田大学は物体・人物認識による視覚(カメラ)にまつわる技術、盛り上がりを増大させる表示インターフェース技術研究を担当。そして、社内の半数以上が聴覚障害者のデザイン会社・Hogakuは、視覚障害の当事者の立場で同システムに携わる。
後編では、世界43ヵ国・地域の507社から選ばれた7社が登壇したピッチコンテスト「SusHi Tech Challenge 2024」の様子を紹介する。審査員も驚いていたほどレベルが高いスタートアップばかりで、観衆は熱いピッチに見入っていた。ぜひ、後編もチェックしてみてほしい。
取材・文:小林香織/ 編集:岡徳之(Livit)