エムポックス・2回目の緊急事態宣言はどれだけ深刻か
◇日本への影響は
日本からコンゴ民主共和国やその周辺諸国に滞在する渡航者も、近年は増えています。こうした地域への渡航者が、出国前にエムポックスのワクチン接種を受けることは現時点では難しい状況です。なぜなら、ワクチンは一般流通しておらず、指定施設での接種対象は患者に接触した人などに限定されているからです。このため、流行地域への渡航者は、滞在先でエムポックスを疑う患者(皮膚病がある人など)に接触しないことが、もっとも有効な予防法になります。エムポックスは新型コロナのように感染力の強い病気ではないため、患者と濃厚接触をしなければ、感染するリスクは低いと考えてよいでしょう。 流行地域に滞在中や帰国後に皮膚病変などが出現した場合は、早めに感染症科などを受診して検査を受けるようにしましょう。国内でエムポックスと診断された場合、治療薬の投与を受ける体制も整備されています そして日本国内でも、ハイリスクグループの中にはすでにワクチン接種を受けている人も多く、国内に持ち込まれても、そこで広がることは少ないと考えます。すなわち、国内でも流行拡大のリスクは低いと予想されます。 今回のWHOからのエムポックスへの第2回緊急事態宣言は、アフリカ域内での流行を抑える目的が大きいようです。そのため、あまり恐れすぎる必要はありませんが、流行地域への渡航者は注意をするとともに、国内でも輸入症例への監視を強化することが大切です。
メディカルノート