日本人に多い<太っていないのに私は太っていると思いこむ人>。和田秀樹「免疫の観点で、適度な内臓脂肪は悪ではない」
◆内臓脂肪は悪とは限らない。免疫細胞も作られる。 実態調査からもわかるように「少し太めの人のほうが長生き」という結論は<新たな常識>なるべきです。世界の医学界では、もはや疑う余地もない学説と思われているからです。 日本では「内臓脂肪はよくない」と一刀両断にされますが、「やや肥満のほうが長生き」と統計データには表れているわけですし、「内臓脂肪から免疫細胞が 作られる」という生理もわかってきています。 とはいえ、脂肪があまりにも多いとなると、話は別です。 例えば、私は見た目には<ちょい太め>くらいですが、中性脂肪は放っておくと2000mgです。 中性脂肪の基準値は30~149mgとされているので、数値主義の医師からは<危険>と言われます。 私自身はとくに問題ないと思っているのですが、1000mgを超えると急性膵(すい)炎になりやすいと言われたので、最近は薬を飲み始めました。 膵炎はあらゆる病気の中でいちばん痛いと言われ、さすがに考えました。 やはり痛い思いをするのは嫌ですからね、そのための対策です。 まあ、私のように数値が高過ぎるのは問題だとしても、高齢者の方が基準値を多少上回るくらいなら大丈夫だと思います。 本当は「***mg」までなら放っておきなさい、と明言したいところですが、個人差があるので、数値は明言せず、私の例を話すに留めておきます。 ちなみに、私の肌はモチモチでプルンプルン。 女性の編集者などにもうらやましがられます。 たぶんコレステロールや中性脂肪が多いからだと自負しています。 肌がみずみずしいのは脂肪のおかげです。 <水分によるもの>と勘違いしている人がいますが、水分が多いとむくむのです。 女性男性とわず肌のハリなど、美容に必要なのは水分ではなく脂肪です。
◆本当は太っていないのに「私は太っている」と思いこんでいませんか 自分の体型を気にする人は多いでしょう。 「私は肥満なのか、標準的なのか、それとも痩せているのか?」 体型は主観によるものなので、判断にばらつきが出ます。 私がよく感じるのは、まったく太っていない人が「自分は太っている」と思いこんでいることです。 痩せている人が「あと5キロぐらい落とさなきゃ」などと言うので、「そんなに痩せたら逆に体によくないですよ」と伝えると、納得しない表情を見せます。 では、どこからが肥満で、どこからが痩せなのか? それを知る<指標>としてよく使われるのが「BMI」(Body Mass Index =ボデイ・マス・インデックス)です。 メタボ健診などでも登場しますね。 「体重÷身長 (m)の2乗」という簡単な計算で割り出せます。 例えば、身長170cmで体重が65kgの人なら、「65 (÷ 1.7×1.7)=22.5」なので、「BMIは22・5」となります。 日本肥満学会の判定基準は、次のようになっています。 18・5未満:低体重 18・5~25未満:普通体重 25~30未満:肥満(1度) 30~35未満:肥満(2度) 35~40未満:肥満(3度) 40以上:肥満(4度) みなさんも自分のBMIを計算してみてください。 いくつでしたか? 日本では22が「標準」とされています。 これを基準に「私は痩せている」とか「太っている」と判断する人が多いのですが、そこには大きな問題が2つあると思っています。 一つ目は<BMIの標準>を本当に信じていいのか、ということ。 二つ目は、痩せる必要のない<標準>の人が「痩せなきゃ」と思い、食べなくなること。 そして、太らなきゃいけない<痩せ型>の人が「痩せている」という判定に満足して、それを維持しようとすることです。 みなさんは<BMIの判定>なるものを信じ、<痩せがいい>と思い込んでいるのでしょうが、実はそれは大間違いです。 それどころか、とても危険なことなのです。 ※本稿は『コレステロールは下げるな』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
和田秀樹
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