日本人に多い<太っていないのに私は太っていると思いこむ人>。和田秀樹「免疫の観点で、適度な内臓脂肪は悪ではない」
健康診断の結果などを見て「コレステロール値を下げないと病気になる」と言われてきた人も多いのではないでしょうか?しかし現在、厚生労働省のサイトによれば「食事中のコレステロールの上限値については専門家の間で決着がついておらず、現行の厚生労働省『日本人の食事摂取基準』では、食事中のコレステロールについては上限値を設けていない」とのこと。実際「コレステロール値は高めのほうが、元気で長生きする可能性が高い」と主張するのが医師・和田秀樹先生です。今回は先生の新刊『コレステロールは下げるな』より抜粋して、人生中盤から楽しく健やかに生きるためのポイントを紹介します。 【書影】コレステロール値は高めのほうが「元気で長生きし、健康寿命も延びる」精神科医 和田秀樹氏の著書『コレステロールは下げるな』 * * * * * * * ◆「中性脂肪の多い食事のせいで太る」ということではない みなさんは、こう思っていませんか? 「コレステロールの多い食品を食べると太る」と。 でも、それは大きな誤解です。 おそらく、多くの人は次のようにイメージをしているのでしょう。 「コレステロールの多い食事=脂肪が多い=内臓に脂肪が溜まる=太る」と。 しかし、実際は違います。 コレステロールの大部分は肝臓で作られています。 食事から摂取するのは2割ほどで、8割は体内で作られるのです。 このため、食事でコレステロールを摂らないようにしても、ほとんど影響がありません。 脂肪の多い食事で太ることはないのです。 私がこんな説明をすると、ほとんどの人は半信半疑の顔でさらに質問をしてきます。 「でも、肉や揚げ物など、脂肪の多い食事をしたら太りますよね?」と。 いいえ、それも誤解です。 確かに肉や油を使った料理には、コレステロールだけでなく中性脂肪が多く含まれています。 しかし「中性脂肪の多い食事を摂ったから太る」ということはないのです。
◆太る理由は「脂肪の多いものを食べる」からではない なぜか? 私たちが食べたものは、胃で消化され、腸でさらに分解され、血液中に送られます。 この流れは、みなさんもよく知っていますね。 中性脂肪は小腸で分解されて「カイロミクロン」という物質になるのですが、これが血液中に入ると、脂肪吸収が抑えられるのです。 このため「脂肪の多いものを食べる=体脂肪が増える」ということにはならないのです。では、なぜ太るのか? それは、炭水化物などの糖質が原因です。 糖質は小腸で分解されてブドウ糖になり、血液の中に入って全身を巡ります。 そして、体や脳を動かすエネルギーとして使われます。 しかし、糖質を多く摂り過ぎたり、運動量が少なかったりすると、ブドウ糖を使い切れず、血液中で余ることになります。 この余ったブドウ糖が、中性脂肪に変わり、脂肪組織として体内に蓄積されていくのです。 お腹まわり、太ももや二の腕などにボヨヨーンとついたお肉の正体は、余った糖質から転じた脂肪だったわけです。 以上が「コレステロールや脂肪を摂っても太らない」という理由です。
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