領域を超え、食の未来を考える。世界のイノベーター100名が登壇「SKS JAPAN 2024」開催レポート
宇宙関連事業の立上げ支援などを展開する株式会社Space Food Lab.の浅野高光氏は、これまで被災地でも活動してきたことから、防災食への課題意識を高めている。 浅野氏「日本における防災食の市場は、わずか300億円程度。備えは不足している状況ですが、消費者の欲望に基づくマーケットではないため、経済が動きにくいです。こうした中で私たちが重視するのは、エコノミーの仕組みをつくること。特に『動くもの』である流通と『動かないもの』である不動産に潜ませることに、注目しています。例えばユーズドマーケットなど2次流通に防災食を潜ませ、経済的に回しながら、いざという時に使用するような仕組みが必要になるでしょう」
社会課題が解決された未来社会のデザインに取り組む、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの木下祐輔氏は、防災・レジリエンスに関するリサーチの結果を共有した。 木下氏「行政の視点に立つと、熊本地震におけるプッシュ型支援をはじめ、災害対応は高度化しています。しかし物資の処理能力・輸送力など、自治体の対応には限界があるのも事実です。一方、期待される民間の取り組みですが、何らかの被災地支援の経験がある企業は4割にとどまり、自助ですら困難な現状があります。突破口となり得るのは、災害対策・対応における金銭的なインセンティブかもしれません。『災害対策=無償』という無言の圧力もあると思いますので、いかに価値観や仕組みを変える取り組みを進めるかが、ポイントになるでしょう」
災害の現場に立ち、防災食の課題を目の当たりにしてきた公益財団法人 日本財団の樋口裕司氏は、対策として「一次産業に防災食を潜ませる」ことに期待を寄せる。 樋口氏「2週間ほど孤立した地域でも、一次産業が盛んであれば、食料を自分たちで賄えた事例があります。都市部で行うには課題もありますが、自給自足の力を平時から備えておくことは有効です。一方、食料を届ける仕組みも大切で、テクノロジーを活用し、流通の細かな情報を可視化するシステムが構築されれば、行政も災害時に動きやすいのではないでしょうか」
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