領域を超え、食の未来を考える。世界のイノベーター100名が登壇「SKS JAPAN 2024」開催レポート
その後、田中氏は独自に作成した「Food Innovation Map(Ver.4)」を提示。購買体験や調理、食体験の進化、レジリエンスや再生・循環型食、文化継承など、食のイノベーションがもたらす可能性を伝えていく。特に近年注目すべきワードとして、「次世代食品開発におけるデジタル化・AI活用」「農業・畜産業の持続可能性向上」「容器、発酵、急速冷凍・急速解凍などの品質向上技術」を挙げた。 田中氏「Food Innovation MapのVer.4には、技術面における『食のデジタルプラットフォーム構築』や『電気調味・音響調味、多感覚知覚・五感活用などコアテクノロジー』、社会実装モデルとして『LIVING LAB』や『都市での実装』などを、新たなキーワードとして加えました。キッチンやレストランの領域で顕著なAIの導入、伝統食の進化・活用にも注目が集まっています」 テクノロジー、ビジネス、経済モデルなど、複層的なレイヤーでイノベーションが進展する食の領域。では、こうした動きはどのように社会課題と結びつくのか。次より二つのセッションを見ていこう。
顕在化する災害時の食料課題、行政と民間は何をすべきか
能登半島地震での食料不足に見られるように、災害と食の課題は深刻化している。2日目に行われたセッション「宇宙から地球のレジリエンスへ、食のエコノミーの未来を切り拓く挑戦」では、災害時の食やサプライチェーンに関する課題について、議論が行われた。一般社団法人 SPACE FOODSPHEREの菊池優太氏は、自身が取り組む「Space Reverse Innovation」という概念を説明する。 菊池氏「私たちは宇宙という極限環境での生活に対し、フードテックをはじめ地上のさまざまな知見を組み合わせることでソリューションを開発し、発展させた技術を再び地上に還元する『Space Reverse Innovation』に取り組んでいます。地上と宇宙の食の共通課題に取り組むのは、宇宙というゼロベースの空間だからこそ、制約にとらわれずにソリューションを開発できるからです。地震や豪雨といった大規模災害はいつ起こるかわかりませんが、顕在化している食の課題は解決を急がなければなりません。本日は皆さんと、レジリエンスなどをキーワードにお話をしたいと考えています」
【関連記事】
- 日本最大級のピッチコンテスト「IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO」開催! 優勝賞金1,000万円を獲得したスタートアップは?<前編>
- 日本最大級のピッチコンテスト「IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO」開催! 優勝賞金1,000万円を獲得したスタートアップは?<後編>
- 世界のスタートアップが集結した「Sushi Tech Tokyo 2024」密着レポ いま知りたいイノベーションに迫る【前編】
- 優勝賞金1,000万円! 白熱したピッチコンテストの結末 「Sushi Tech Tokyo 2024」密着レポ【後編】
- シリコンバレー/サンフランシスコが不動のトップ スタートアップエコシステムがもっとも発達した都市ランキング、東京、大阪、京都は?