イスラム勢力が劣勢挽回も フィリピン最高裁決定、選挙影響
【マニラ共同】フィリピン最高裁が11日までに南部ミンダナオ島の和平合意に基づくイスラム自治政府の領域からスールー州を除外すると決めた。議院内閣制の自治政府を樹立する来年5月の議会選挙で、かつて政府軍と戦ったモロ・イスラム解放戦線(MILF)の政党は苦戦が予想されていたが、ライバル弱体化で追い風を受けそうだ。 選挙に参加する政党のうち優勢とみられていたのは、各地の有力な氏族が集まりスールー州のタン知事を首相候補に推す「大連合」。最高裁決定により、大連合は同州の票田を失い、タン氏も出馬できなくなった。「政治的な決定」との見方も出ている。 マルコス大統領は和平プロセスが順調に進んでいると強調してきた。だがMILFは最終段階の武装解除に応じておらず、選挙で大敗すれば治安悪化を招く恐れがある。 自治・統治研究所のバカニ所長は「大連合は過半数を取る可能性が高かった」が、同州除外で「選挙戦は互角になった」と分析。「大統領が(和平の)成功を宣言しており、波風を立ててはいけないが政府の立場だ」と解説する。