ヤギの呪いを解いたカブスのVでクローズアップされた世界の「呪い伝説」
メジャーリーグのワールドシリーズが終わり、カブスが延長戦の末、8-7でインディアンスを下し、1908年以来108年ぶりの世界一に輝いた。長年、面白おかしく語られてきた“ヤギの呪い”から、やっと解放されることになった。 全米では、カブスが世界一から遠ざかっていた理由として“ヤギの呪い”があるからだ、とされてきた。1945年にワールドシリーズに進出したときに、ビリー・シアニスさんが、ペットのヤギを連れて試合を観戦しようとしたが、臭いを理由にヤギの入場を拒否され、怒ったシアニスさんが、「カブスは二度とワールドシリーズに勝てなくないだろう」と恨みの言葉を投げつけた。この年、カブスはタイガースに第7戦で敗れ、それ以降、ワールドシリーズに進出できなくなっていたのだ。 スポーツ界でこの手の「呪い伝説」に悩まされてきたのは、カブスだけではない。 米メディアのヤフースポーツは、先日、世界のスポーツでささやかれてきた呪いをまとめて掲載した。 “ヤギの呪い”に次いで、ヤフースポーツが最初に取り上げたのは、「チームだけでなく、フィラデルフィアでは都市全体が呪わていた」として書いた“ビリー・ペンの呪い”である。 フィラデルフィアは、1901年、市庁舎先端にウィリアム・ペンという人物の銅像を設置した。ウィリアム・ペンは、フィラデルフィア市を建設し、米国憲法にも影響を与えた人物だと言われている。記事によると、フィラデルフィアでは、「ウィリアム・ペンの銅像よりも、高い建物を建設しないという暗黙の了解があった」という。 ところが、その紳士協定が破られた。 「しかし、1985年にこの高さを超えるリバティ・プレイスが建てられた。それからというもの、フィラデルフィアを本拠地とするチームは、メジャーリーグのフィリーズだけでなく、ことごとくファイナルには進出するものの、優勝できなくなってしまった」という。 アメフットのNFLのイーグルスは1960年が最後、バスケットのNBAのセブンティシクサーズは1983年が最後、アイスホッケーのNHLのフライヤーズも1975年を最後に優勝がない。 そこで、フィラデルフィアの人たちは、呪いを解くために積極的にアクションを起こした。 「2007年にリバティ・プレイスの高さを超えるコムキャストセンターが建設された時、その屋上部分にウィリアム・ペンの銅像を移した。一度はその銅像が盗まれたのだが、再び溶接し直した。そして2008年にフィリーズがワールドシリーズで優勝。フィラデルフィアのスポーツにとって1983年以来の優勝だった」。 フィラデルフィアの人々があの手この手で粘り強く動いたことが分かる。ちなみにNBAのセブンティシクサーズも、効果があって2001年にファイナル進出を果たしたが、まだフィリーズ以外のスポーツは優勝していない。“ビリー・ペンの呪い”は完全には解けていないのである。