新車を買ったのに納車の時に見たら10km以上走行してる! 0kmから乗りたいオーナーがいても叶わないワケ
完成した新車は納車までにさまざまなシーンで自走する
新車は製造されたあと、点検を受けて、生産工場のなかを自走して移動する。このときには、すでに積算走行距離計が作動しており、走った距離に応じて数値が増えていく。さらに、車両を運搬する船舶やキャリアカーに積むときも、積算走行距離計は作動する。このほか、ディーラーオプションなどを取り付ける物流センター、納車する車両を駐車しておくモータープールなどでも車両は自走する。販売会社に到着して、ユーザーの自宅に届けるときも、当然ながら積算走行距離計が動く。 【写真】東京~鹿児島間を毎月5往復! 走行距離は月1万キロ! ギネスに載る482万8000km走ったボルボとは 以上のような事情から、日本車の販売店に尋ねると「納車時の走行距離は車両によって異なるが、短い場合で4kmくらいは走っている。多い車両は10km前後に達する」としている。これは仕方ないだろう。 輸入車は、車両の完成後に現地の工場で検査のために走る距離が、日本メーカーの車両よりも長いことがある。さらに輸入車は、日本に運ばれたあとも、港の近くに設置された広大な施設で各種の検査を受ける。海外から長期間の輸送を行うため、通関の手続きを行ったあとで車両を入念に洗浄する。改めて外観、各種のメカニズムや機能の作動確認、日本の保安基準に適合しているかのチェックも行う。 このあとは屋根の付いた広い保管場所に収められ、キャリアカーなどに積んで、販売会社へ出荷される。輸入車は以上のようなプロセスを経るため、納車されたときの積算走行距離が30~40kmに達している場合もある。 それでも新車を買って、積算走行距離が長くなっていると、ユーザーとしては気分がよくないだろう。走行距離が長すぎると思ったら、販売店に問い合わせてみたい。
渡辺陽一郎