なぜJリーグ再開は延期でなく白紙になったのか…問われる村井チェアマンの決断力
今月下旬からカテゴリー別に公式戦を順次再開させていく青写真を描いていたJリーグが、一転して日程をすべて白紙に戻すことを決めた。当初は予定になかった実行委員会を3日午後にウェブ会議方式で急きょ開催し、J3までを含めた全56クラブの代表取締役らとの間で合意に達した。 Jリーグは当初、まだ開幕していないJ3を今月25日、ともに開幕節を終えた後に延期されていたJ2を5月2日、そしてJ1を同9日と段階的に再開させていく目標のもとで準備を進めていた。 実行委員会後にオンライン形式のメディア向けブリーフィングを開催したJリーグの村井満チェアマンは、延期ではなく白紙という意思決定がもつ意味をこう説明した。 「次の再開日程については従前ですと2週間刻みのインターバルでの検討を重ねてきましたが、少なくとも1カ月以上の間隔を空けて、試合日程プロジェクトを中心に協議することでも合意しています」 新たな期日を設定しなかったことで、延期ではなく白紙となる。他のプロスポーツ興行に先駆けて2月25日に公式戦延期を決めて以来、Jリーグは3月18日、4月3日、そしてカテゴリー別の3段階再開と常に期日を定めてきた。方針が大きく変わった背景には3日午前に東京都内で行われた、日本野球機構(NPB)との共同で設立した新型コロナウイルス対策連絡会議の第5回会議があった。 同連絡会議が招へいした、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授(感染制御学)を座長とする3人の専門家チームの助言や提言を受けながら議論を交わした。2時間あまりに及んだ会議の雰囲気が、これまでに行われた4度とは明らかに違っていたと村井チェアマンは説明する。 「専門家チームのトーンが、明らかに従来のトーンと変わっていました。なので、私のなかのマインドもいったんリセットするタイミングとなりました」 具体的にトーンがどう変わっていたのか。これまでの新型コロナウイルス対策連絡会議の流れを、村井チェアマンは「どのような点に留意すれば公式戦を再開できるのか、というところが議論の中心だった」と振り返る。いわゆる“三密”から密閉を除いた密集と密接を排除するための提言をもとに、サッカーの現場や実情に照らし合わせながら再開へ向けた施策を講じてきた。