なぜJリーグ再開は延期でなく白紙になったのか…問われる村井チェアマンの決断力
ひるがえって今回はどうだったのか。例えば政府の専門家会議から、現時点で残された「感染未確認地域」として区分された岩手、島根、鳥取の3県にはいわてグルージャ盛岡、ガイナーレ鳥取のJ3クラブが存在する。しかし、専門家チームから「感染確認地域となるのは時間の問題、となる可能性が大きい」と指摘されたことを受けて、村井チェアマンも考え方をあらためるに至った。 「岩手や鳥取といったエリアでお客さまが少ない状況で試合をしても、選手やクラブ関係者が移動するなかで感染リスクにさらされる。だからといって、すべてを無観客試合で開催すればいい、というレベルでもなくなってきている、ということを今日の先生方からのメッセージで感じました」 NPBとJリーグの選手たちも感染しはじめた状況もあり、専門家チームの賀来座長は「4月の開催は非常に難しい。現段階で時間を延ばせるのであれば、できる限り延ばしていただきたい」と会議のなかで強く踏み込んでもいる。専門家チームの一人、愛知医科大学の三鴨廣繁教授(臨床感染症学)は「5月の終わりごろであれば、何とかなるのではないか」と会議で発言した理由をこう説明する。 「今年(の開催)は無理だ、と言うのは簡単ですが、それはありえないと思っています。なので、期待を込めてひとつの目安を提示させていただいた、ということでご理解をいただければ」 三鴨教授があげた「5月の終わりごろ」と、村井チェアマンが言及した「1カ月以上の間隔」はほぼ一致する。ただ、未知の敵である新型コロナウイルスとの戦いは予断を許さない。5月下旬が近づいてきたときにどうなっているかわからないからこそ、村井チェアマンもこう語っている。 「我々の願い通りに終息してもらえる保証はありませんし、先のことは専門家の先生でさえ見通しがつかない。その意味では見渡せる範囲のなかで、例えば1カ月刻みでしっかりと準備を継続していく、というところまでしかいまは申し上げることができない」