壮絶な自撮りのポジション争いの行方は!? 「女子高生」で「ゴリラ」の主人公がおくるハイテンションコメディ『ゴリラ女子高生』【書評】
「女子高生」は若さとパッションを兼ね備え、人間社会を生きぬく強さを持っている。そして「ゴリラ」も、高い握力と屈強な体格を持つジャングルの強者だ。そんな強者が掛けあわされたら、はたしてどんなキャラクターが生みだされるだろうか。 【漫画】本編を読む
『ゴリラ女子高生』(大友しゅうま/KADOKAWA)は、実際にそんな妄想を具現化した、「女子高生」で「ゴリラ」の主人公がおくるハイテンション・ゴリラ・(ラブ)コメディ。「ジャンプ+」連載争奪ランキングで1位を取り、SNSでも大きな話題を呼んだ作品だ。 主人公となるのは高校1年生の五里うらら(ごりうらら)。肩までのミディアムヘア、大きなリボンのついた制服にキャメル色のベスト。そして顔の周囲や、シャツやスカートからのびた手足は、髪色とおなじ茶色の毛におおわれている。――そう、彼女はがっちりした筋肉質な体格と、500キロの握力を持つゴリラなのだ。 ゴリラとはいえ女子高生。写真を撮るときは真剣勝負だ。カメラを向けられれば小顔効果を期待し、友人より一歩も二歩も後ろに下がってしまうのは女子高生の業のようなもの。それは友人も同様だ。競うように後ろを取りあい、最終的には窓をもつき破ってしまう。もはやゴリラのレベルをも軽く超越する、そのパワーと勢いには笑わずにいられない。 ひとクセあるのは主人公だけではない。うららがひそかに思いを寄せるイケメンの同級生は、うららがその圧倒的なパワーで空き缶を軽々と握りつぶし、指輪にするのを見て、「おもしれ~女…」と古のラブコメから伝わるお約束セリフをつぶやくようなズレっぷり。 仲良くしている友人は、Lサイズのベストに、Sサイズ表記のシールをわざと貼り、華奢な体格と、天然キャラを同時にアピールしてまわる策士だ。うららと仲良くしているのも、都合のいい引き立て役がいると思っている節がある。 ビジュアル面ではゴリラであるうららが際立っているが、中身をかんがみると、周囲の人間たちも、うららに十分対抗できるだけの特異な個性にあふれている。そんな突きぬけたキャラクターたちの迫力満点のやり取りが面白くないはずがない。 普通の人間のコメディでは満足できなくなってしまった人には、ぜひこのゴリラ×女子高生がおりなす、想像をやすやすと超えてくるギャグの数々を体感してほしい。 文=ネゴト / たけのこ