進まぬ『免許返納』 減らない『高齢者の事故』 でも運転をやめると要介護状態の危険度が“8倍”になったというデータも
■運転をやめると要介護状態になりやすい
高齢者の運転事故を防ぐためにも免許返納が大きな一手なのだが、課題もある。 まず免許返納後、外出が減ったという人は都市部で23.6%で、過疎地では55.8%にもなる。 さらに免許返納して運転をやめることで、要介護状態になりやすいというデータもある。運転を中止した人は、運転を継続していた高齢者に比べて、時間が経つにつれ、要介護状態の危険度がおよそ8倍になったそうだ。 そして返納後の「不便さを感じるか」という調査では、地域によって差がある。 「感じる」「どちらかと言えば感じる」と答えた方の割合は、都市部では25%にとどまったが、地方都市、過疎地と増えていき、過疎地では60%以上の方が不便だと感じている。 都市部から離れて行くにしたがって、不便と感じる人の割合が増えている。 関西テレビ 神崎博報道デスク:同じ調査で、実は自主返納で不便を感じている理由も聞いてるのですが、その中で当然、買い物や病院に行きにくくなったと。それ以外に、出かけたいと思った時にいつでも出かけたり、出先でそこにいたい時間までいたいと思っても、いられなくなったという点で、すごく不便を感じている人が多くいます。あとは趣味で外出しにくくなったということも理由に挙げてる方もいらっしゃいます。生活の範囲や幅も狭くなり、色々やりたいことができなくなってしまうということもあります。 そんな中で、自治体としても支援はしている。 大阪府豊中市では電気自動車「モビとよ」というものがある。どういうものかというと週2回1日4便(午前、午後)、無料で街を周遊しています。スーパーや駅、公園や小学校に行ってくれるそうです。ボランティアの方が運転してくれるそうだ。支援を考えている自治体もあるが、予算がかかる部分もある。 前尼崎市長 稲村和美さん:地域によってかなり状況が異なると思います。都市部と地方都市でも違うと思うので、それぞれの工夫なんですけれども、もちろんコミュニティバスなどの取り組みも、当然、いろいろなチャレンジがなされています。 あともう1つは、移動店舗です。例えば高齢化が進んでいる団地に、お店が行って、買い物していただけるようにするなどの発想もあります。なるべく出やすいエリアに、同じ趣味の人達と集まるコミュニティがあるかどうかとか、両面で取り組んでいく必要があるのかな。また地域の特性に応じた取り組みが求められていると思います。 安全対策はどのようにしていけばいいのだろうか。 関西テレビ 神崎博報道デスク:高齢者ドライバーで一番問題になっているのは、アクセルとブレーキの踏み違いです。そこは、実は車の技術の進歩で、衝突の防止装置がついている車もかなり多くなってますし、あとは自動運転技術をどんどん進めていこうとしてるので、自動運転技術がちゃんと完成されれば、当然、踏み間違いなんかないわけですから、そういう意味においては、技術の進歩がもうちょっと進めば、高齢者ドライバーの問題もだいぶ解決すると思います。 前尼崎市長 稲村和美さん:防止装置の購入に対する補助制度も、結構できてるんですけど、つけられない車があったりするみたいなので、やっぱり技術が進歩すると、少し進む面もあると思います。 ただ自主返納を促すのではなく、自主返納しやすいような環境の整備が必要だ。 (関西テレビ「newsランナー」2024年6月18日放送)
関西テレビ