生成AI拡大で電力需要「爆増」…追い風が吹く電力会社銘柄5選を大公開!どうなる柏崎刈羽原発
2025年は国内の原子力発電所が大きな転機を迎える年だ。福島第一原発の事故以来、稼働していなかったBWR型原発の本格的な営業稼働が始まる。AIの拡大とともに電力需要の拡大が進む中、電力会社そして原子力発電所が注目される機会も増えるのではないだろうか。2025年に注目が予想されるエネルギー銘柄として電力銘柄を取り上げる。みんかぶマガジン特集「2025年最強銘柄84」第9回「電力」ーー。
国内電力状況の転換点を迎える2025年
2025年は国内の電力状況が大きな転換点を迎えます。2011年3月の東日本大震災による福島第一原発の事故以来、国内の原子力発電所は低稼働の状態が続きました。 特に福島第一原発と同じモデルのBWR型原発は稼働が進まず、福島第一原発とは異なるPWR型の関西電力と九州電力の原発が一足先に可動が進みました。 しかし2024年11月にBWR型の東北電力の女川原発2号機、12月に中国電力の島根原発が再稼働を始めます。これにより、2025年は年初からPWR型原発に加えBWR型原発も稼働するため、電力の供給体制としては新たな1ページが始まります。
世界最大級の柏崎刈羽原発も再稼働に向けた動き
東京電力が新潟県に持つ柏崎刈羽原発は世界最大級の原子力発電所です。こちらも福島第一原発の事故以来停止中ですが、再稼働に向けた動きは徐々に始まっています。 ただし柏崎刈羽原発には、立地する新潟県の再稼働同意というハードルがあります。新潟県は東北電力の管内であり、柏崎刈羽原発が稼働せずとも不利益はほとんどないという点がネックで、地元の動意による再稼働の時期は見通せない状態です。
原発に関わる電力会社銘柄5選
2025年は国内の原発再稼働が新しい段階に入る年です。それに関わる電力会社としては以下があります。 ・関西電力(9503) ・九州電力(9508) ・東北電力(9506) ・中国電力(9504) ・東京電力ホールディングス(9501) それぞれ解説します。 関西電力(9503) 福島第一原発の事故前から原子力発電に強い関西電力は、東京電力が実質的な国有化状態にある現在、原発を持つ国内最大の民間電力会社です。高浜第1原発が初の50年超の運転が認められるなど、原発の稼働維持に向け着実に布石を打っています。原発が株式市場で注目を浴びる際に、関西電力は欠かすことのできない銘柄と言えるでしょう。 九州電力(9508) 関西電力と同様に、原発が既に稼働している電力会社です。TSMCの熊本第1工場が2024年末までに本格稼働予定であり、また他にも九州には次々と半導体工場が立ち上がっており、半導体工場による電力需要の拡大とともに収益拡大の可能性もあります。 東北電力(9506) 2024年11月にBWR型の女川原発2号機が再稼働を始めており、2025年から同原発の営業稼働が本格化。またそれとともに同社の収益改善が予想されます。BWR型原発の再稼働銘柄として最初に注目を集める可能性があります。 中国電力(9506) 2024年12月にBWR型の島根原発が再稼働を予定しています。東北電力と同様に、2025年度からの原発稼働による収益改善が予想され、注目を集める可能性があります。 東京電力ホールディングス(9501) 実質的な国有企業ながら、世界最大級の原子力発電所である柏崎刈羽原発を保有しており、原発銘柄としては真打ち的存在です。福島第一原発の事故以後、経営再建の切り札として柏崎刈羽原発の再稼働が想定されていました。同原発の再稼働は経営再建という観点のみならず、AIの普及による電力需要拡大への対応の切り札としても期待されています。新潟県の再稼働容認へのハードルは依然として高いものの、2025年に再稼働に向けた動きがあれば、改めて注目を集めるのではないでしょうか。
2025年は原発関連企業に注目
資源を持たない日本にとって、原子力発電所は核廃棄物問題があるものの、エネルギー戦略上欠かすことのできない存在です。福島第一原発と同じモデルのBWR型原発の再稼働が本格化する2025年は、国内のエネルギー状況について、福島第一原発の事故以来の大きな変化が生じる年です。2025年は特に原発を有する電力会社の業績及び株価の行方が注目されます。
石井僚一