『グッドモーニング, ベトナム』スランプのロビン・ウィリアムズを甦らせたマシンガントーク
たとえオスカーは獲れなくても
『グッドモーニング, ベトナム』の演技で、ウィリアムズは第60回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされる。『ラストエンペラー』(87)が大量受賞したこの年、期待された主演男優賞は『ウォール街』(87)のマイケル・ダグラスにもたらされた。ウィリアムズがようやく黄金像を手にしたのは、それから10年後の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)である。アカデミー賞は必ずしもその年のベストに手渡されるものではない。だが、ウィリアムズは本当にオスカーが欲しかった。彼の喜びがいかに大きかったかは、受賞の瞬間を舞台袖で見守る親友ビリー・クリスタル(当夜のMC)の嬉しそうな表情からも伝わった。 たとえアカデミー賞は逃しても、『グッドモーニング, ベトナム』のDJ役はロビン・ウィリアムズのベストワークに数えられる。彼が突然この世を去って今年でちょうど10年。あの物悲しい瞳でマシンガントークする姿を、国宝とまで讃えられた才能の発露を、是非もう一度見てみたい。 参照 https://www.yahoo.com/entertainment/robin-williams-good-morning-vietnam-barry-levinson-spoken-blackface-144840031.html 文:清藤秀人(きよとう ひでと) アパレル業界から映画ライターに転身。現在、映画com、MOVIE WALKER PRESS、Safariオンラインにレビューやコラムを執筆。また、Yahoo!ニュース個人にブログをアップ。劇場用パンフレットにもレビューを執筆。著書に『オードリーに学ぶおしゃれ練習帳』(近代映画社刊)、監修として『オードリー・ヘプバーンという生き方』『オードリー・ヘプバーン永遠の言葉120』(共に宝島社刊)。 (c)Photofest / Getty Images
清藤秀人(きよとう ひでと)