【Around30】突然の倒産、借金…モデルを辞め、三畳一間から社長に
Around 30 人生の分岐点~私はこれで生きていく~ 第2回 女性起業家(元モデル・株式会社美泉代表取締役社長) 相馬祐依さん(32) 結婚、海外転勤、転職、起業…30歳が近づくと急に迎える人生の転機。そんな時に「私はこれで生きていく」という決断をした人の人生に、少しだけおじゃまさせてもらった。不定期連載でお送りするこの企画の第2回は、国内外7店舗を展開するエステサロンを経営する会社の社長、相馬祐依さん(32)に迫る。突然の失職や借金を抱えた家族を守るための決断、起業にむけて奮闘する毎日に、「可能性は無限大」と語る彼女のガッツあふれる生き様に迫った。 ◇
「お願いします!とにかく直接会って話を聞いてください」 2007年、大阪市。24歳の相馬さんは毎日のように頭を下げていた。知人の会社経営者の居場所を突き止めては、会いに行き、自身の考えた経営計画をプレゼンしていた。オフィスを借りて起業するためだ。
22歳までは東京や大阪でモデルをしていた。女性誌やテレビCMなどに出演し、流行最先端の服を着て、スポットライトに照らされ、たくさんのカメラが自分に向く。キラキラとした仕事に胸が躍り、楽しい毎日を過ごしていた。 夢のような日常は突然終わる。所属事務所の倒産。父が母に借金を残して姿を消したこともわかり、母や8歳下の弟のことを思い、東京での芸能活動を諦めて実家のある大阪に戻ることにした。 借金の返済のために北新地のクラブでアルバイトをしていたころ、携帯電話にラインストーンなどで飾り付ける「デコ電(デコレーション携帯電話)」が流行していた。相馬さんの作品は周囲の人に評判となり、多くの人からデコレーションを頼まれるようになっていった。 「これって仕事になるかも……」 相馬さんは「デコ電」で起業しようと決意したが、24歳の女性が会社を作りたいと言っても、オフィスを貸してくれるところ、出資をしてくれる人などいなかった。世間は冷たかった。