【Around30】突然の倒産、借金…モデルを辞め、三畳一間から社長に
ここに一冊のノートがある。相馬さんはエステサロンを開業するにあたり、今後の10年計画を立てている。その一部を記したものだ。ノートをめくりながら、相馬さんは語る。「2009年当時は、まさか海外にまでお店が出させるなんて思ってもいませんでした。計画は今どの段階にあるか、常に進捗を確認していますが、いつも自分の想像を超えて夢が実現していっています」 2015年12月10日、中国・北京、気温0℃。高層ビルが建ち並び、急激な成長で世界第2位の経済大国になったこの国を象徴する大都市に、海外進出第1号店がオープンした。10年計画は、日に日に上方修正されている。今後の目標について聞いてみた。 「女性が長く働けるリアルなビジネスモデルを提案して、女性の自立を応援していきたいですね」 女手一つで自分と弟を育ててくれた母親の姿を見てきた相馬さんは、「女性の自立」を企業理念の中にキーワードとして入れている。日本人の平均年収は、男女で100万円以上の差がある(厚生労働省「平成26年賃金構造基本統計調査」)。結婚や出産、子育てなどで女性は、男性より勤続年数が短くなりがちという現状も関係しているだろう。 何が「女性の自立」につながるのか。相馬さんは、自分自身の生い立ちや日本社会の現状をふまえ、自身の会社で女性の働き方や給与体系などの試行錯誤を続けている。「エステ美容の革命」と「女性が自立できるビジネスの構築」を目指して、相馬さんの夢は続いていく。
【相馬祐依(そうま・ゆい)】 1983年9月1日生まれ。32歳。大阪府出身。大阪市内の高校在学中にモデルデビューし、東京や大阪で活動。2007年デコ電とヘアセットサロンRosesを開業。2009年エステサロン「美泉(びせん)ビューティーサロン」を開業。2012年株式会社化し、代表取締役社長に就任。「経験に勝るものはない」をモットーに、経営者として全国を飛び回りながら、今も隙間時間を見つけては顧客に直接施術を行う。趣味は海外ドラマと読書。 (文:山田恵介/THE EAST TIMES)