ダルビッシュ発言が動かした?メッツが先発6人制を本格導入
米国時間の6月1日時点でナショナルズと並んでナ・リーグ東地区の首位のメッツが同3日(日本時間4日)から先発6人制ローテーションを実施する。5人の先発投手が中4日で投げるのがメジャーの定石。長期連戦中や疲労の蓄積する夏場、ローテーションの谷間などでは“暫定的6人制”となるケースは珍しくはないのが、今回のメッツの決断は、シーズン終了までの永続的なものとは断言されていないものの、夏場を見越した長期的導入ということで注目される。 「我々が管理しようとしているのは、(先発投手にかかる)仕事の負担だ。できるだけ選手に休養を取らせて、できるだけフレッシュな状態で投げてもらい、肩や肘の故障を回避するためだ。要するにノーモア・トミー・ジョン手術(肘靭帯再建手術)を願ってのこと。投手陣皆にいい方向に働けばいいと思う」 コリンズ監督は、6人制導入の最大の理由を怪我防止と語る。現在のメッツの先発陣容は42歳のベテラン右腕コローン、一昨年10月にトミー・ジョン手術を受けたハーディー、昨年のナ・リーグ新人賞を獲得したデグローム、今年の5月12日にデビューしたばかりの新人シンダーガード、左腕のニースという顔ぶれ。ここに、足の付け根を痛めていたジーがきょう3日のパドレス戦で復帰する。ジーを救援投手として使う案や、シンダーガードを3Aに降格させる案も検討した上で、指揮官は最終的に6人で先発を回すことを決断した。 今年トミー・ジョン手術を受けたダルビッシュ投手が昨年7月のオールスター前日の会見で「中4日は短すぎる」と先発6人制を提唱したことは、日米のメディアでも大きく取り上げられて話題になった。また、昨年は、田中将大投手に右肘靭帯部分断裂が判明した際にヤンキースが6人制ローテを検討したという報道も出た。 だが、実際に6人制に踏み切るチームは出てこなかった。メジャーではマイナー時代から5人制で育成され、皆が中4日の調整に慣れ親しんでいる背景がある。先発を1人増員すれば25人枠の中で救援投手や控え選手を1人削らなければいけない。更に、年棒とは別に登板回数や登板イニングで出来高契約を結んでいる投手も多く、6人で分担すれば、それだけ登板機会は減る。契約社会のメジャーらしい理由だが、レッドソックスもかつて、6人制導入が検討された時があったが、当時のエース・ベケットら主力の反対にあった。