世界で7割の人が「障がいのあるアスリートを平等に報じてほしい」と回答、一方で日本では5割にとどまる
平等なビジュアル表現にも貢献する「ユニバーサルスポーツ」
障がいのあるアスリートと健常者アスリートが平等にビジュアルで表現されていくためには、「ユニバーサルスポーツ」の取り組みが広がることも大切かもしれません。「ユニバーサルスポーツ」は、年齢や国籍、障がいの有無に関わらず、みなが一緒に楽しむことができるスポーツです。 「VisualGPS」の調査結果によると、ユニバーサルスポーツのように、障がいのある選手とそうでない選手が一緒に競技をすることを支持する消費者は、世界全体では46%であるのに対し、日本では27%にとどまりました。日本ではスポーツに対する伝統的なアプローチが強く、能力によって競技を分けることがより受け入れられていることを示しているかもしれません。また日本ではパラリンピックのようなイベントにおいて、これらのアスリートの功績に焦点を当て、彼らの成功や社会的貢献を強調することで、より共感しているのかもしれません。 世界的にはこういった競技に取り組むアスリートを含む多様なビジュアル表現が増えつつあります。日本のメディアは他国の成功事例を紹介し、競技の内容やコンセプトをわかりやすく紹介することが大切です。
障がいのあるアスリートのビジュアルが社会に変化をもたらす
人々が障がいのあるアスリートと健常者アスリートが平等に報じられることを望む中で、マスメディアやビジュアルを発信する側はどのような点を考慮することが必要でしょうか。6つのポイントをまとめてみましたので、参考にされるとよいかもしれません。 1.マスメディアで障がいのあるアスリートを取り上げ、認知度を高めることで社会に変化を起こしましょう。 2.日本のスポーツ文化の形成におけるパラリンピックの重要性と、その社会への影響を強調しましょう。 3.障がいのあるアスリートのサクセスストーリーを特集し、一般の人々の認識にポジティブな影響を与えましょう。 4.スポーツのイメージを拡大し、さまざまな文脈における障がいのあるアスリートにスポットを当て、幅広い競技活動を描きましょう。これには、スポーツへの参加だけでなく、試合の準備、練習への参加、休憩、チームメイトとの関わりといった日常の瞬間も含まれます。 5.他国の成功例を参考にしながら、徐々に「ユニバーサルスポーツ」を導入し、日本での受け入れを促しましょう。 6.「感動的」な描写を避け、現実的で日常的な描写に重点を置くことで、真のインクルーシブな表現を強調しましょう。
文:遠藤由理