【F1メカ解説】モナコで大苦戦したレッドブル。その原因は”空力パフォーマンス”を追い求めすぎたことだった?
今季開幕時点では、圧倒的な強さを誇っていたはずのレッドブル。しかしモナコGPで大苦戦したことで、縁石やバンプが弱点であることが露呈した。これはサスペンションの動きよりも空力的なパフォーマンスを追求した結果である可能性もある。 【動画】レッドブル・ホンダのF1マシン”RB16Bありがとう号”が、東海道新幹線&西九州新幹線に挑んだ! そのレッドブルRB20のサスペンションについて検証してみよう。 モナコGPの土曜日、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、ライバルと同じように縁石を乗り越えることができず、さらにコース上の凹凸に苦しんでいることを告白した。シーズン開幕当初は最強だと誰もが信じていたレッドブルに、大きな弱点があることが明るみに出たのだ。 この問題に対処するためにレッドブルは、サスペンションのセッティングを柔らかく変更した。しかし柔らかくすればするほど状況が悪化し、これがチームを困惑させることになった。 しかしそんな中でチーム代表のクリスチャン・ホーナーがレース後、今年のサスペンションの調整が苦戦の原因かもしれないと語ったことは実に興味深い。 「RBのマシンは、昨年の我々のサスペンションで走っているが、同じような問題は起きていないようだ」 そうホーナー代表は語った。 「だから、その問題が我々が今年導入したものに起因するのかどうか、それを理解する必要がある」 確かにRBの角田裕毅は、モナコで良いパフォーマンスを発揮した。しかしホーナー代表は、今回の問題は突然発覚したものではないと認めた。 「昨年のシンガポールでも、その問題に悩まされた」 そうホーナー代表は語った。 「それで、今回再び同じような事例が起きた。これは、我々が取り組む必要がある領域であることは分かっている」 では、一体何が問題の原因だったのだろうか?
■デザインの改良
レッドブルは、2022年に現行レギュレーションが導入されて以来、フロントにプルロッド、リヤにプッシュロッドを採用し続けてきた。しかしその間にも、デザインを最適化するために細かな変更を加えている。 今回何が起きたのか……その答えは、この最適化にあるのかもしれない。サスペンションの運動性能を向上させるという点では、できることは限られている。しかしその一方で、空力面を改良するためにできることはあったはずだ。 レッドブルは、今季のRB20でも隊列の最前列をキープするため、空力上の利益を追求……その過程でマシンの乗り心地という側面が犠牲になりすぎていた可能性がある。 乗り心地と空力的利益は、どうバランスを取るのかということが重要だ。例えば、サスペンションの稼働範囲が僅かに低下する代わりに、より大きな空力的利益を得ることができれば、チームはそれを喜んで受け入れるはずだ。 さらに稼動範囲を妥協することで、縁石や凹凸に苦しむことになったとしても、空力性能が重要なコースで存分にパフォーマンスを発揮できるのであれば、その苦労は耐える価値のあるモノだったかもしれない。 そしてその弱点は、ライバルとの差が大きかった時にはそれほど目立たなかったが、今年のようにライバルのパフォーマンスが接近してきた場合には、実際にポジションを失うという結果に繋がる。