【F1メカ解説】モナコで大苦戦したレッドブル。その原因は”空力パフォーマンス”を追い求めすぎたことだった?
■レッドブルはどう変革を遂げたのか?
実際にレッドブルのマシンを見てみると、彼らは明らかにパフォーマンスを向上させるために、フロントサスペンションとその周辺に変更を加えてきている。 コンポーネントのレイアウトは、基本的には同じまま。アッパーウイッシュボーンは、前後が独立して存在するような形になっている。 フロントレッグ(前方のアーム)は、モノコックの最も高い位置に取り付けられている。一方でリヤレッグ(後方のアーム)は、アンチダイブ(マシンのフロントエンドが沈み込むのを防ぐ)効果を高めるために低い位置にマウントされている。これは、空力的により効率的な配置と言えるだろう。 レッドブルはここ3年、このレイアウトを採用してきた。しかしモノコックのフロントバルクヘッドの系譜を辿ると、チームが徐々にキールを削り取り、それによりマシン後方に向かう気流の状態を改善してきたことが分かる。またこの変更に伴い、ロワウイッシュボーンとステアリングアッセンブリーの位置にも変更が加えられてきた。 レッドブルが今直面している問題は、バンピーなストリートサーキットを低速で走行する際に、ハイダウンフォース仕様のエアロパッケージと組み合わせた時に起こるようだ。 バンピーな路面、そして縁石を乗り越えるためにサスペンションを柔らかく設定するためには、車高を上げる必要があるはずだ。するとドライバーの操縦に対するマシンの反応が鈍り、コーナーを抜ける時にアクセルを蹴り込むのが難しくなる。 ただ、確かにモナコでは大苦戦したものの、そのパフォーマンスが今後他のコースでも続くということではないはずだ。 次のカナダは、縁石を乗り越える能力は確かに重要になるため、これはレッドブルに対して不利に働く可能性がある。路面も基本的にはバンピーであるが、今季のカナダGPに向けて路面が再舗装されており、それが凹凸を解消させている可能性がある。 まずはそのカナダGPの初日、レッドブルがどんなパフォーマンスを発揮するのかというところに注目が集まる。
Matt Somerfield