都心部の億ションはまだ「バブル」とは言えない…!一極集中で高騰する今のマンションと「バブル期」との決定的な違い
「バブル」とはどういう現象を意味するのか?
今年、2024年1月16日公開の「10年で2倍!高騰する都心のマンション価格、それでもこれはバブルではない」を執筆してから、ほぼ1年が経過した。2024年も都心部のマンション価格上昇が続き、特に東京都心6区(港、中央、千代田、渋谷、新宿、文京)のファミリータイプの新築マンションは1億円超の価格が普通になった。 【写真】10年で2倍!高騰する都心のマンション価格、それでもこれはバブルではない 「これはバブルだ」という声も聞かれる状況下、再度この問題を考えてみよう。まず筆者はエコノミストとして「バブル」という用語を単に「特定分野の資産価格が高騰し過大評価されている」という意味では使わない。そもそも市場では常に過大評価されたものも、過小評価のものも、ある程度同時に存在する。 では私達が警戒しなければならない「資産バブル」とはどういう状態を言うのか。信用(借入)の膨張を伴う資産価格の持続不可能と思われる高騰、そしてその破裂(資産価格の下落)が起こった時に信用の収縮が起こり、「売るから下がる、下がるから売る」という負のスパイラルが生じること、そして実体経済にも大きなマイナスのショックをもたらすリスクが大きい事態、これを「バブルとその崩壊」と呼んでいる。 この種のバブル現象では、その最終局面で資産価格の上昇が継続しない限り、返済不能になる投資主体の借入が莫大に累積する。ご承知の通り、こうした事態の代表例は、80年代後半から90年前後の日本の不動産と株式市場、1990年代後半から2000年の米国株式市場(ITバブル)、2000年代の米国住宅市場、そして2008年以降今に至る中国の建設・不動産分野で起こった。 そういう意味で、24年1月の論考では現状の都心部のマンション価格高騰をバブルではないが、過大評価と思われる物件がかなり出てきているので「フロス(小さな泡粒)」と表現した。その基本認識は現在も大きく変わっていない。ただしこの1年間でフロスの粒は数が増しているようだ。そうした直近の状況を踏まえて再考してみよう。