都心部の億ションはまだ「バブル」とは言えない…!一極集中で高騰する今のマンションと「バブル期」との決定的な違い
東京中心区に集中する高額物件
まず東京の住宅不動産の概況を、国土交通省の不動産価格指数(住宅)に基づく図表1で見て頂きたい。2012年12月以来、東京のマンション価格指数は112%上昇(2.12倍)しているが、同期間に住宅地は30%、戸建ては37%の上昇に止まっている。土地も戸建ても、マンションも全般的に高騰したバブル期とは明らかに異なる。 ■図表1 国土交通省、不動産価格指数(住宅・東京、2024年8月現在) さらに図表2に東京都を地域的に3区分した既存(中古)マンションの売り出し価格分布を示した。抽出対象は、専有面積60~80平方メートル、築年数15年以内、駅から徒歩10分、土地所有権の物件で、住宅検索サイトSUUMOに掲載されている売出物件である(24年12月19日現在)。同サイトには同一物件が異なる仲介業者から重複して掲載されているので、重複分は除いてカウントしてある。 ■図表2 東京都の既存マンション(区分所有)売出価格分布 都心6区(港、中央、千代田、渋谷、新宿、文京)(黄色)は価格が2億円以上の物件が最多価格帯であるが、これら6区を除いた17区(紫色)での最多価格帯は8000万~9000万円、さらに23区以外の都下(水色)では4000万~5000万円が最多価格帯である。この分布から都心6区の高額物件が全体の平均値を大きく押し上げている状況が推測できる。大阪、京都、名古屋でも同様の傾向が強く、2億円を越える高額物件は都心部に集中している。 さらにミクロのデータで、新築でマンションを購入している代表的な家計について、その所得、購入価格、借入などの特徴をみよう。この点についてはリクルートが調査・開示している「首都圏新築マンション契約者動向調査(2023年版)」が参考になる。 2023年に首都圏で新規マンションを購入した59%が共働き(ダブルインカム)世帯である。新築マンションを購入した共働き世帯の平均年収は1126万円であり、そのうち33.9%が東京23区で新築マンションを購入している。さらにそのうち世帯年収1000万円以上では44.3%が東京23区で購入している。また既婚・共稼ぎ世帯で総年収1000万円以上の世帯が購入したマンション価格は6000万円以上が68%を占め、平均購入価格は7147万円である。 購入者全体の自己資金比率は平均21.7%だが、共稼ぎ世帯について見ると世帯収入1000万円以上の購入者の自己資金比率は9.9%、平均ローン金額は6369万円、また1000万円未満の購入者の同比率は11.8%、平均ローン金額は4822万円である。