星野イズム継承。中日・与田監督がOP戦で見せた勝負采配の理由とは?
勝負采配だった。 中日は9日、千葉・幕張のZOZOマリンでロッテとオープン戦を行い、1-0で勝利したが、与田監督は計6人の投手を注ぎ込む本番想定の小刻み継投で1点を守った。 試合は開幕投手候補の笠原が6回を投げフォアボールひとつだけという準完全試合でゲームを作り、1-0のまま終盤に突入していた。7回一死から2番手の左腕の福が藤岡に、この試合初ヒットを打たれると、4番の井上を迎えたところで右の田島を送った。田島はインサイドを果敢に攻めたが、ボールが抜け、井上のユニホームをわずかに掠るようなデッドボール。一、二塁となったが、与田監督は動かない。 続くレアードにはスライダーをうまくバットに乗せられた。新設され最大4メートル前にせり出した「ホームランラグーン」に飛距離十分の打球が舞うが、アルモンテに替え、この回から守備固めに入っていたレフトの井領がジャンプ一番好捕。逆転アーチをつかみだすと、続く鈴木もレフトフライに抑えた。 「野手の助けが多かった。防御率はピッチャーの力だけでは下げられない。ああやって、いい形で守ってくれると、ピッチャーにも安心感が出る」 与田監督がバックを褒めた場面だ。 さらに8回にもピンチを迎えた。4番手の左腕、岡田が新外国人のバルガスを警戒しすぎて四球で歩かせると、続く吉田にはバントで送られた。ピりっとせず岡にも四球を与え、守備から入っていたスーパールーキーの藤原を打席に迎えたところで与田監督が動く。 “左対右”となるが、祖父江にスイッチしたのである。13719人で埋まったZOZOマリンは、この日一番のボルテージ。緊迫した空気が流れたが、祖父江は、堂々ストライクゾーンで勝負した。いい当たりだったが、センターフライに抑え、続く左打者の平沢も一塁ゴロ。ピンチを脱した。そして9回は“暫定ストッパー”の鈴木博志である。替わっていた高濱、三木、山口の“1軍半”の3人に格の違いを見せつけるようにストレート、ストレートで押し込んでいく。最速150キロ。連続三振から最後、山口は三塁ゴロ。しびれるような1-0勝利だった。 試合後、与田監督に聞く。 ――勝負采配をしましたね? 「そりゃ、きょうのゲームは勝ちたいでしょう」