特別警報は「レベル5」 でも重要なのは「レベル4」――気象庁有識者会議
本当に重視すべき情報は「レベル4」
社会的に認知度の高い「大雨特別警報」がレベル5相当に位置付けられることが決まったわけだが、「既に災害が発生している」「あるいは発生している蓋然性(確実性の度合い)が極めて高い」段階で行動することが危険であることは言うまでもない。 命を守るうえで、本当に重視すべき情報はレベル4だ。 中央防災会議は、レベル4の時に住民が取るべき行動として▽指定緊急避難場所等への立退き避難を基本とする避難行動をとる▽災害が発生するおそれが極めて高い状況等となっており、緊急に避難する――としていて、自治体が発令する避難勧告や避難指示(緊急)もレベル4に位置付けられている。つまり、避難所など安全な場所に移動するという基本的な避難は、この段階までに完了しておく必要があるということだ。もちろん、高齢者などすぐに避難行動をとることができない人は、この前の段階であるレベル3で行動を起こすことが必要になる。 しかし、気象庁が用意した会議資料に、緊急記者会見における呼びかけ例として「大雨特別警報を発表する可能性があります」という言葉が用いられており、これに対して委員の一人から「本当に(情報を)伝えて、避難してもらいたい段階はどこなのか?」と疑問視する声が出るなど、レベル4の情報をうまく伝える案は固まっていないのが現状だ。大雨特別警報の可能性に言及することが、大雨特別警報の発表を待つことにつながれば、豪雨災害から命を守るうえで重要であるはずのレベル4の情報の存在感が薄まるという本末転倒の事態を招きかねない。 「レベル4が持つ重要性をしっかりと伝えるためにはどうすればよいのか」という点について、今後、工夫や改善を進めることが不可欠だろう。 飯田和樹/ライター・ジャーナリスト(自然災害・防災)