忍び寄るJ2降格の影、ゴール裏から「前向きな言葉」も…エースの落胆に映った現実【コラム】
【カメラマンの目】下位に沈む浦和と柏、負けられない一戦での“火花”
悪天候による延期から、10月23日に仕切り直しとなって行われたJ1リーグ第25節・浦和レッズ対柏レイソルの一戦は、激しい守備の応酬が核となる展開で進んだ。こうした強力な守備を武器として、火花を散らす内容になると、選手たちはボールをキープすることが難しくなり、どうしても試合の流れは途切れとぎれになることが多い。 【動画】「初めてみた」「貴重なシーン」 柏DFが被害者に…“高速イエロー2枚退場”の珍ジャッジ場面 実際、前半はそうした展開が強く表れていた。カメラのファインダーにはボールを持った選手の周辺に敵、味方が入り乱れる、潰し合いの場面が多く捉えられた。 しかし、リーグ順位のジャンプアップを強く意識した両チームの選手たちは、90分間のゲームのすべてを、長所の消し合いによって生じる退屈な内容で終わらせるようなことはしなかった。激しいぶつかり合いが繰り返されることで、両チームの選手たちの気持ちもより火がついたようで、タイトな守備にも屈することなく、失敗を恐れないダイナミックなプレーを徐々に見せていく。 パスでは力強い軌道のロングキックが繰り出され、ボールを受けた選手は敵とのフィジカルファイトに真っ向勝負で応え、守備網の突破を試みる。時間が経過していくにつれて、選手たちは激しいプレーをぶつけ合う展開に慣れていき、せめぎ合うコンタクトプレーはそのままに、お互いが形成する強力な守備網に対して、荒々しくもクリーンなプレーで挑み、攻防はより攻撃的になっていった。 この試合はたとえ守備を重視しても、選手たちの勝ち点3を奪取したいという思いが強ければ、内容は退屈なものにはならないということを証明する良い例となった。 しかし、勝敗はアディショナルタイムに明暗を分けることになる。浦和は試合終了間際に得点へのビッグチャンスとなるPKを獲得する。キッカーのチアゴ・サンタナは失敗へのプレッシャーに飲み込まれることなく、確実にゴールネットを揺らし、ホームチームが劇的な勝利を挙げたのだった。 対する柏はこの敗戦により、J2降格の影が忍び寄る低空飛行からの脱出を果たすことができなかった。残り4試合となった、これからのJ1に留まるための戦いが、より厳しさを増したことは間違いない。